暦年贈与と贈与税
暦年贈与とは、贈与税の暦年課税制度の贈与のことで、1月1日から12月31日までの間に贈与を受けた金額が110万円以下の場合、贈与税の申告が不要な制度です。
贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力が生じます(民法549条)。
もちろん暦年贈与も贈与ですので、あげる人ともらう人の意思が合致していないといけません。
ただし、贈与を受ける方一人あたり年間110万円までは贈与税がかかりません。そこで、この非課税枠を活かして相続対策に活用されてる方も多くいらっしゃると思います。
ところが、この生前贈与には、注意すべきポイントがいくつかあります。
生前贈与における注意すべきポイント
まず、確実な贈与を行うには、それを証明するための証拠が必要となります。
たとえば、贈与のたびに贈与契約書を作成したり、贈与者の口座から受贈者の口座へ振り込むこと等が考えられます。
また、次のような場合、暦年贈与として認められないおそれがあります。
たとえば、子どもの将来のために、子ども名義の口座(いわゆる名義預金)をつくって、内緒で積み立てていた場合、子どもがその事実を知らなければ、贈与は成立しません。
また、子どもにこれから10年間、毎年100万円ずつ贈与する約束をした場合、その贈与を約束した年に、将来にわたって1000万円をもらえる権利を贈与したとみなされ、贈与税が課税されてしまうおそれがあります。
このように暦年贈与については注意すべき点が多くありますので、暦年贈与を検討されておられる方は、専門家にご相談されることをお勧めします。