遺産分割問題解決の流れ

ND4_0176さて、相続が発生して、遺産分割を行う場合、大きく分けると遺言の有無によって、2つの流れがあります。

相続発生

遺言がある場合・・・原則として、遺言に沿って相続する
遺言がない場合・・・裁判外での遺産分割協議書の作成や、裁判所での調停・審判の上、取り決められた内容に基づき、相続する

遺言がある場合

被相続人の遺言がある場合は、原則として、遺言に沿って相続を行います(例外的に、相続人全員の合意があれば、遺言と異なる内容の遺産分割協議を行うことが可能な場合があります)。

しかし、遺言書に不備がある場合や、ご本人が書いたものかどうか確認できない場合などには、遺言の効力が認められないことがあります。そのような遺言に基づいて相続を行っても、効力は生じません。そのため、遺言がある場合でも、その形式に疑いがある場合や、その内容に納得がいかない場合には、裁判所に対し、遺言の有効・無効を確認する訴訟を提起して、遺言の効力を確定する必要があります。遺言の効力を判断するには、専門的な知識及び能力が必要となりますので、疑問がある場合、ぜひ弁護士にご相談ください。

また、例えば、兄弟が3人いるのに、「長男に全てを相続させる」という遺言があるような場合には、他の兄弟2人は遺留分を侵害されることになりますので、長男に対して、遺留分減殺請求を行うことができます。ただし、遺留分減殺請求には、期限があります。期限を過ぎて放置してしまうと、請求が認められなくなりますので、ご注意ください。

遺言がない場合(遺言が無効である場合も含みます。)

被相続人の遺言がない場合には、法律によって定められた相続人(法定相続人)全員により、遺産分割協議書を作成する、あるいは裁判所に対し調停や審判を求めることになります。

この場合の遺産分割の流れは次のようになります。

① 相続調査  → (② 遺産や相続人の範囲を確定するための訴訟→) 
③ 遺産分割協議 → ④ 遺産分割調停 → ⑤ 審判
①相続調査

遺産分割協議に当っては、相続人(法定相続人)と相続財産の確定が必要です。相続人の戸籍謄本の収集や、相続財産目録の作成を行うことになります。

遺産分割協議が終了した後に、新たな相続人が見つかった場合や、相続人でない者が参加していることが分かった場合などは、せっかく成立した協議内容が無効になってしまいますので、注意が必要です。

法定相続人や相続財産の確定には多くの労力を要する場合も多いです。そのような可能性がある場合は、あらかじめ、専門家である弁護士に相続調査を頼んだほうが良いといえます。

②遺産や相続人の範囲を確定するための訴訟

上述のとおり、遺産分割は共同相続人の全員によってなされなければならず、これに反した遺産分割は無効となります。

また、遺産の範囲についても、遺産の一部が漏れていた場合や、遺産でない財産を遺産分割の対象とした場合、その遺産分割の効力に問題が生じます。相続人全員が合意の上、遺産の一部を分割することは有効ですが、残りの遺産についてあらためて遺産分割が必要になります。遺産の一部を除外した遺産分割は、一部分割として許容される余地もありますが、遺産分割の対象とされなかった遺産の存在が分かっていれば全く異なった遺産分割がされていたという事情が認められる場合には、無効とされるでしょう。

そのため、相続人の範囲や相続財産の範囲に争いがある場合は、遺産分割の前提として、その真否を確定しておく必要があります。

]家庭裁判所の審判の中で、これらの前提事実について判断することもできますが、その後、訴訟となり、審判と異なる判断が確定した場合、訴訟の判断が優先するので、家庭裁判所の審判は効力を失い、せっかくの遺産分割審判が無に帰してしまいます。そこで、実務では、遺産分割の前提事実に争いがある場合には、まず訴訟で確定させるという取扱いがなされています。訴訟となれば、殆どの場合、双方に代理人の弁護士がつくことになります。

③遺産分割協議

相続調査(及び訴訟)によって、相続人と相続財産の範囲が確定したら、遺産分割協議を行います。遺産分割協議とは、相続人全員による話し合いであれば足り、特に決まった方式があるわけではありません。話し合いがまとまった場合は、その内容にもとづいて、遺産分割協議書を作成し、これによって相続を行うことになります。

④ 遺産分割調停

遺産分割協議がまとまらない場合、家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てることになります。家庭裁判所に対し、調停ではなく審判を申し立てることも可能ですが、その場合でも、家庭裁判所が職権で調停に付すことが通常の取扱いとなっています。

調停とは、簡単に言うと、調停委員を仲介者とした交渉のことです。その結果、相続人全員が合意に達した場合は、裁判所書記官が調停調書を作成し、これにもとづいて相続を行うことになります。調停になった場合は、双方に弁護士がつく場合が多いです。

⑤ 審判

調停が不調(不成立)になった場合、家庭裁判所の審判の手続きに移行します。審判では、裁判官が、双方の主張を聞いたうえで、審判を下すことになります。審判が出た場合、これに基づいて相続がなされることになります。審判に不服がある場合は、審判の告知の日から2週間以内に抗告しなければなりません。

遺産分割を行う場合、特に、相続人間ですでに揉めている場合や、今後揉める可能性がある場合は、上記の解決までの全体像を見越した上で、最適な解決方法を考える必要があります。

話し合いで解決するほうが有利になるのか、裁判所の手続を利用したほうが良いのかは、ご相談者様の状況によって、ケースバイケースです。

当然、弁護士にご相談いただく場合には、これらの全体像を踏まえて、最適な解決方法をアドバイスさせて頂きます。


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