相続を放棄する手続き

s_ND4_0182相続が開始されると、被相続人が有していた一切の権利義務が相続人に承継されることになります。

相続財産には、現金、不動産、預貯金などのプラスの財産だけでなく、住宅ローンや借金などのマイナスの財産も含まれています。マイナスの財産がプラスの財産より多い場合は、相続によって、債務を背負うなど損をしてしまうことになります。

また、プラスの財産がマイナスの財産より多くても、今後の管理の煩わしさなどから、相続人が財産の承継を望まない場合もあり得ます。

そのような場合に、相続人の意思を尊重するため、民法は、相続人に一定の選択権を与えています。

民法上、相続人は、「単純承認」、「限定承認」、「相続放棄」の3種類の対応をとることになります。

単純承認

被相続人の一切の権利義務を承継する方法です。

積極的に意思表示をする場合と、法律で単純承認したものとみなされる場合があります。後者の場合を「法定単純承認」といい、以下の3つがこれにあたります。

①相続の開始(すなわち被相続人の死亡)及び自分が相続人であることを知った日の翌日から3カ月(これを「熟慮期間」といいます。)が経過したこと

②相続人が、被相続人の死亡の事実を知りながら、相続財産の全部又は一部を処分したこと(ただし、保存行為や短期賃貸借契約の締結は含みません。)

③相続人が、相続財産の全部又は一部を隠したり、私的に消費したり、相続債権者を害する意思で相続財産目録に記載しなかったこと

 

限定承認

被相続人の財産につき、プラスの財産の範囲内でのみ、マイナスの財産を引き継ぐという方法です。

この方法をとれば、相続によって損をすることを避けることができます。被相続人が相続人の知らない間に借金をしている可能性があるなど、プラスの財産が多いのかマイナスの財産が多いのかが把握できていない場合に、有効な方法です。

限定承認には、以下のとおり決まりがありますので、注意が必要です。

①限定承認の期限

熟慮期間内、すなわち相続の開始及び自分が相続人であることを知った日の翌日から3ヶ月以内に行わなければいけません。

この期限を過ぎると、上述のとおり、単純承認したことになってしまいます。

②限定承認の参加者

相続人全員で行わなければなりません。つまり、相続人が複数いる場合、そのうちの一人でも単純承認すれば(もちろん、法定単純承認の場合も含みます。)、限定承認を行うことはできません。ただし、相続放棄をした人は、後述のように、はじめから相続人でなかったことになるので、含まれません。

③限定承認の手続

家庭裁判所に限定承認の申述を行わなければなりません。申述が受理されれば、相続財産の清算が行われることになります。

このように、限定承認には、相続人全員で手続をせねばならない、そして手続には非常に手間と時間がかかるという難点があります。

 

相続放棄

被相続人から一切の財産を相続しない方法です。プラスの財産よりもマイナスの財産の方が多い場合、基本的にこの方法をとるべきといえます。

相続放棄をしたい場合、熟慮期間内、すなわち相続人が相続の開始及び自分が相続人であることを知った日の翌日から3ヶ月以内に、家庭裁判所に相続放棄の申述をする必要があります。

申述が受理されれば、はじめから相続人でなかったことになります。そのため、先順位の相続人が相続放棄をした場合、次順位の相続人が相続人になります。

相続人としては、熟慮期間を正確に把握し、どう対応するか決定することが非常に重要です。

ご自身の対応につき疑問や不安がある場合は、ぜひ弁護士にご相談ください。

 

 


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