後継遺贈型受益者連続信託と遺留分について

後継遺贈型受益者連続信託とは

im_009後継遺贈型受益者連続信託とは、現受益者の有する信託受益権(信託財産より給付を受ける権利)が当該受益者の死亡により、予め指定された者に順次承継される旨の定めのある信託のことをいいます。平成18年の信託法改正により認められました。但し、この方法によっても相続法の公序である遺留分制度を潜脱することができないことは、立法段階から異論がなく、遺留分の適用対象となります。

(家事法研究会(4)-遺産分割事件と遺留分減殺請求事件との関係(判タ1327号18頁~)。

 

減殺請求の対象となる財産

では、減殺請求の対象となる財産は何でしょうか。この点については、二説に分かれます。

甲説は、減殺請求の対象となるのは受益権(信託行為の一部であり受託者から受益権を取得させる行為)であり、減殺請求の相手方は受益者であり、遺留分算定の基礎となる財産の価額は受益権で価額である(被相続人死亡時の価額、民法1029条2項で算定)とする。つまり、受益権を与える行為を遺贈に準ずるものと理解します。

乙説は、減殺請求の対象となるのは信託財産(信託行為の一部であり、受託者に信託財産を移転する行為)であり、減殺請求の相手方は受託者であり、遺留分算定の基礎となる財産の価額は信託財産の価額であるとする。つまり、信託財産の移転行為を遺贈に準ずるものと理解します。

甲説に対しては、受益権の総額は、信託された土地建物の価額に及ばないため、遺留分を侵害されている者は、減殺請求をしても、被相続人が信託した土地建物自体を遺贈した場合に得られる遺留分額を確保できない、つまり、遺留分制度の潜脱になってしまうという批判があります。また、かといって、受益権の額の合計を信託財産の価額と等しいものとして算定すると、受益者が、実際に受けた価額以上の価額を控除されて相続分を算定されることになり、不合理であると批判されています。

乙説に対しては、複数の受益者が存在するときで、その一部の受益者のみが他の相続人の遺留分を侵害していると考えられるとき、信託財産の移転行為を減殺すると、遺留分を侵害していない受益者が、信託財産の減少により損害を蒙ってしまうという批判があります。それどころか、遺留分減殺請求によって受益権が減少することで、遺留分を侵害される受益者が生じかねないという批判もあります。しかし、この批判に対しては、受益権の評価を、将来、遺留分減殺請求により減少させられる可能性があることを前提として行うことで回避できると再反論がなされています。

現在、裁判所がどちらの説によって判断するかは不明です

 

財産を確実に承継させるために

このように、信託も遺言と同じように、遺留分減殺請求の影響を受けるため、信託で決めたとおりに財産を確実に承継させるためには、他の相続人に遺留分を確保できるよう他に財産を残すなどの手当が必要となることがあります。

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