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祭祀財産とは

s_ND4_02131.民法は、祭祀財産を遺産として遺産分割の対象とするのではなく、特別の承継規定を設け、それに基づいて祭祀主宰者が承継すると規定しています。したがいまして、祭祀財産は遺産としては扱われません。

これは、祭祀財産がその性質上共同相続に適さないこと、祭祀財産を普通の財産と同視してこれと同様に扱うことが従来からの国民感情や習俗からみて好ましくないことなどが主たる理由とされています。

2.祭祀主宰者が承継する祭祀財産とは、「系譜、祭具及び墳墓」をいいます。

「系譜」とは・・・系図など歴代の家長を中心に祖先以来の系譜(家系)を表示するものをいいます。
「祭具」とは・・・祖先の祭祀、礼拝の用に供されるものをいいます。位牌、仏壇、霊位やそれらの従物などがこれにあたります。
「墳墓」とは・・・遺体や遺骨を葬っている設備をいいます。墓石、墓碑などの墓標や土葬のときの埋棺などがこれにあたります。墳墓の敷地である墓地が「墳墓」に含まれるかについては争いがありますが、通説は墓地も「墳墓」に含まれると解しています。

これらの祭祀財産は、遺産として扱われないばかりか、本来の祭祀目的で作られている限り、差押禁止物であり、税法上も非課税財産となっております。

3.祭祀財産を所有する者が死亡した場合、祭祀主宰者がこれを承継することとなります。

祭祀主宰者は、まず①被相続人の指定によって②被相続人の指定がない場合には慣習によって③被相続人の指定もなく慣習によっても明らかでない場合は、家庭裁判所が指定(審判)することになります。

①被相続人による祭祀主宰者の指定方法は、生前行為でも遺言でもよく、また、それらは口頭、書面、明示、黙示のいかんを問いません。

こうして決定された祭祀主宰者は、法律上当然に祭祀財産を承継することになりますので、これを放棄したり、辞退したりすることはできません。しかし、承継者が承継後にこれらの財産を処分することは自由で、承継者の処分に対しては、相続人が反対したり、返還を求めたりすることはできません。