家族会議のやり方

1 はじめに

 相続は、「争族」と言われることがあるほど、争いが起こりやすいものです。しかし、多くの方は、家族が争いになることを望まないでしょう。
 弁護士として相続事件を取り扱っていますと、亡くなった方が、きちんと生前にご自身の思いと財産についてご家族に伝えていれば、トラブルは起こらなかったのではないかと思うことも多々あります。
 ご自身が亡くなった後の相続に関するトラブルは、生前に家族会議を行うことで減らすことができるかもしれません。
 この記事では、家族会議を行うメリットと、円滑な家族会議を実施するために注意すべき点について解説します。

 

2 家族会議を行うことのメリット

⑴ 自分の思いを正確に伝えられる

 家族会議を開くことで、家族に対する感謝の気持ちを伝えることができます。遺言書や手紙に家族に対する感謝を書き綴ることもできますが、書面だけでは伝わらないこともあります。遺言書で、各相続人の取得できる財産に差をつける場合には、遺言書だけでは思いが伝わらず、相続人の間で争いが起こってしまう恐れがあります。家族会議を行い、自分の思い・感謝の気持ちを伝えることで、自身が亡くなった後のトラブルを防ぐことができるでしょう。

⑵ 財産状況についてのトラブルを防げる

 相続財産について相続人が知らなければ、「他にも財産があるんじゃないか」「●●が財産を隠している・使い込んでいるんじゃないか」と疑心暗鬼に駆られてしまうことがあります。生前に家族会議を行い、どのような不動産があるのか、どこの口座にいくらくらい預金が残っているのか、将来的には介護費用等でいくらくらい使う予定なのか等をご家族で共有することで、ご自身が亡くなった後の財産を巡るトラブルを防ぐことができるでしょう。

⑶ 遺言書の存在と内容を伝えられる

 遺言書を書いたこと、どこに保管しているかを伝えることで、遺言書が発見されない可能性を低くすることができます。また、遺言書の内容をあらかじめ伝え、遺産の分配方法について説明することもできます。先ほども述べた通り、遺言書の中で分配方法について文章で説明することもできますが、残された相続人たちの納得感を得るには、生前にご自身の口から説明されたほうが良いでしょう。
 また、遺言書の内容については変わり得ることを伝えておくのが良いと思います。「あの時は~という内容の遺言書を書いたと言っていたのに」「新しい遺言書は偽造されたものに違いない」などと、新しく作った遺言書の内容についてトラブルになることもあり得ます。
 自宅に保管することで、死後に隠匿される恐れがあると感じた場合には、公正証書遺言を作成したり、自筆証書遺言を法務局に保管することで、安全に遺言書を残すことができます。ご家族には、「公正証書遺言を作成した」「自筆証書遺言を法務局に保管してある」などと述べておけば、相続人が遺言書を見つけてくれることでしょう。

 

3 家族会議を行う上で注意すべきこと

⑴ 参加メンバーは相続人に限定する

 相続人の配偶者などが参加することになれば、それぞれが感情的に意見を述べてしまい、話がまとまらなかったり、余計な争いが起こってしまうことがあります。
 相続人のみで家族会議を行うか、仮に人数が多くなってしまう場合には、弁護士などの第三者の専門家に同席してもらい、法的なアドバイス等をしてもらいましょう。

⑵ 可能であればご自身の家を開催場所にする

 財産資料がどこにあるかを確認できるのは、ご自身の自宅だと思います。預金通帳や有価証券の情報等がどこにあるのかなど、財産に関する資料が探しやすく、話がスムーズに進みます。また、いずれかの相続人の家で家族会議を行うことになれば、その相続人が主導権を握ってしまい、ご自身の思いを伝えることができなくなってしまうかもしれません。

 

4 おわりに

 以上のように、相続を争族にしないために、家族会議を実施することは有効な手段の一つでしょう。
 遺言書の作成方法や家族会議の実施など、終活についてお困りのことがございましたら、相続に詳しい弁護士にご相談されることをお勧めします。

 

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弁護士法人法律事務所瀬合パートナーズ

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