遺産分割の法改正について

1 はじめに

 令和3年の民法(相続法)改正で,遺産分割に関する見直しがされることとなりました。その中の大きなポイントは,遺産の共有関係の解消です。例えば,相続人が複数存在する場合には,遺産に属する土地,建物,動産等の財産は,原則として相続人により共有されることとなります。
 では,共有となった場合に,どのようなことが問題となるのでしょうか。まず,土地や建物の不動産についてみると,相続人がそれぞれ共有持分権を有することになるので,不動産の売却や使用に制限がかかる場合があり,管理自体に支障を来す事態が生じます。また,遺産分割がされないまま相続が繰り返されると,多数の相続人により遺産を共有することになり,より権利関係が複雑化することから,空き家や所有者不明土地が生ずることも少なくありません。
 空き家や所有者不明土地の問題は,相続が生じてすぐに何か表面化することはないことに加え,遺産分割を行わないことへのペナルティも特にないことから,遺産共有の状態を解消しないままに次の相続が生じ,その次の相続も生じるということが多くありました。
 そこで,この度,遺産共有の状態を解消すべく,相続法の改正が行われたということになります。

2 改正の具体的な内容

 原則として,相続開始時から10年を経過した後にする遺産分割は,具体的相続分ではなく,法定相続分(又は指定相続分)によることになります。具体的相続分とは,法定相続分を基礎として寄与分や特別受益,生前贈与等を考慮したものを意味しますが,相続開始時から10年を経過した場合,これらは考慮せずに,法定相続分(又は指定相続分)によることになります。法定相続分から修正が必要な事情がある場合には,資料の散逸を防ぐためにも,できる限り早めに遺産分割協議をすることをおすすめします。
 また,これは,改正法の施行日前に被相続人が死亡した場合の遺産分割についても適用されますので,まだ遺産分割協議をされていない方は早期にご対応いただく方が良いようです(一部猶予期間の適用もございます。)。
 さらに遺産共有と通常共有が併存している場合には,これまでは遺産共有は遺産分割手続で,通常共有は共有物分割手続で別個に解消する必要がありましたが,相続開始時から10年を経過したときは,遺産共有関係の解消も地方裁判所等の共有物分割訴訟において実施することも可能になりますので,より具体的相続分による修正は難しくなりそうです。
 それでは,実際に所在不明な相続人がいる場合には,どのようにして不動産の共有関係を解消するのでしょうか。この点,相続開始から10年が経過すれば,裁判所の決定を得て,所在不明な相続人の不動産の持分を取得したり,所在不明な相続人以外の共有者全員で不動産全体を譲渡したりということが可能になります(ただし,いずれの場合も,所在不明な相続人の不動産持分に相当する価額の供託をする必要があります。)。

3 最後に

 共有関係を解消することは,今の社会における様々な問題を解決するために不可欠になりつつあります。こと遺産分割手続においても,10年経過後には本来主張できたはずの修正要素を主張できなくなるというリスクを伴いますので,遺産分割をする必要がある際には早目の対応をしておいて損はありません。
 相続についてお悩みの際には,是非一度弁護士にご相談ください。

 

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弁護士法人法律事務所瀬合パートナーズ

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