遺言書と寄附
遺言書の作成をお考えの方の中には、遺産を社会に役立てたいといった思い等から、福祉団体や公共団体に寄附(遺贈)をしたいと考えておられる方もいらっしゃると思います。そのような場合、思いもよらない落とし穴もございますので、次のような点にご留意ください。
1.福祉団体や公共団体に寄附(遺贈)をしたい場合
まずは遺言書を作成する前に、寄附を考えておられる団体にあらかじめ相談された方がよいでしょう。相談のない場合、寄附先の団体によっては、寄附自体を拒否する場合があり、遺言者の意思を実現できないリスクがあります。
また、宗教法人のような場合、内部規則によっては、寄附を受けることができない場合がありますので、できれば事前に内部規則を確認させてもらうとよいでしょう。
2.地方公共団体へ寄附(遺贈)する場合
寄附の対象は、金銭に限定された方がよいでしょう。不動産などを寄附の対象とすると、遺贈を放棄される可能性がありますので、ご注意ください。
3.予備的遺言の明記
以上のとおり、遺言書によって寄附(遺贈)をしたとしても、団体や寄附の内容によっては、遺贈を放棄されることがあります。そのような場合、寄附の対象としている遺産をどのようにするか等、予備的に遺言条項を明記することをお勧めします。
このように、遺言書で寄附をされる場合、遺言者の意思を実現できないことがありますので、あらかじめ相続にくわしい専門家にご相談されることをお勧めします。