見守り契約・財産管理委任契約とは
第1 ホームロイヤー契約とは
ホームロイヤー契約は、ご自身の判断能力には問題がないものの、高齢や入院などで将来の財産管理などに不安を持っており、頼れる親族が身近にいない方が利用される契約です。
具体的には、弁護士との間で、見守り契約、財産管理委任契約、任意後見契約などを行い、将来の生活の支援を受けることを内容とします。
ホームロイヤー契約は、弁護士とご本人との間の委任契約になりますので、ご本人が認知症などで判断能力がなくなっている場合は利用することができません。
認知症が進んでおり、ご本人にすでに判断能力がなくなっている場合は、成年後見制度などを利用することになります。
第2 見守り契約とは
見守り契約は、弁護士に対して、主に以下のような行為を委任する契約となります。
【見守り契約の主な内容】 ・委任者の安否や体調の確認を定期的に行う ・面会を行い、財産管理や介護サービスの利用契約、相続などの相談を適宜行う ・入院等の緊急事態に対応してもらう |
見守り契約は、委任者に対し、定期的に訪問してもらったり、電話やメールなどで状況を確認してもらうことが中心的な内容となります。
財産管理については、弁護士との間で以下の財産管理委任契約をした場合は、それに従って弁護士に管理してもらいます。
ご自身で財産を管理することができる場合は、ご本人が財産を管理することになります。
一人住まいの単身者で、親戚付き合いもない方は、この見守り契約を行って、定期的に様子を見てもらえれば安心です。
第3 財産管理委任契約とは
1 財産管理委任契約とは
財産管理委任契約とは、ご自身の財産の管理や、法律行為その他の事務を、自身で選んだ代理人に委任する契約になります。
民法上の委任契約(民法643条)または準委任契約(民法656条)となりますので、当事者間の合意のみで効力が生じます。任意後見や法定後見とは異なる私的な契約となります。
成年後見制度との大きな違いは、成年後見制度が精神上の障害による判断能力の減退があった場合にはじめて利用できるのに対し、財産管理契約はそのようなことがない場合でも利用できる点です。
開始時期や内容についても、成年後見制度と比べ、自由度が高い制度です。
任意後見契約と一緒に財産管理委託契約を締結する場合も多いです。
2 財産管理委託契約を検討するケース
財産管理委任契約の利用を検討するケースとしては、以下のようなものが考えられます。
【財産管理委任契約を検討するケース】 ・将来、入院したり、施設に入所するときに、費用の支払い等、自分で財産管理を行うことが難しくなると見込まれるケース ・高齢になり、賃貸借契約や、要介護認定の申請や介護サービスの利用、年金や給付金の受給手続、種々の契約や支払いなどを代わりに行ってくれる親族等がいないケース |
財産管理委任契約は、民法上の委任契約・準委任契約(法律行為以外の事務を委任)となりますので、何を委任するかは自由に決めることが可能です。
また、財産の管理を全て任せるのではなく、不動産の管理のみを委任したり、預金のうち特定の預金のみの管理を委任するということも可能です。
ご自身の状況に合った財産管理やその他の事務を委任できるよう、受任者とよく話し合って決めておきましょう。
3 財産管理委任契約のデメリット
財産管理委任契約のデメリットには次のような点があげられます。
【財産管理委任契約のデメリット】 ・公正証書が作成されるわけではなく、登記制度もないため、社会的信用が十分とはいえない。 ・公的な監督者がいないため、委任者が委任内容を適切に遂行されているか監督する必要がある。 ・任意後見制度のような取消権がない。 |
このため、財産管理委任契約を行う場合は、信頼できる弁護士等との間で契約をすることが必要です。
また、定期的に受任者から、財産の管理状況について報告を受け、適切な管理がなされているかをチェックするのが良いでしょう。
第4 任意後見契約
財産管理委任契約と一緒に、任意後見契約を締結することも検討します。
任意後見契約は、判断能力のある間に任意後見契約を締結するのですが、ご本人の判断能力が不十分となって、家庭裁判所が任意後見監督人を選任したときに効力を生じます。
任意後見契約は、ご本人が認知症等によって判断能力がなくなった場合にも、自身で選んだ任意後見人に財産管理等をしてもらい、施設への入所、費用の支払いやその他の身の回りの支援をしてもらうことができます。
任意後見契約では、家庭裁判所において任意後見監督人(弁護士など)が選任され、その監督人によって定期的に任意後見人による財産管理状況等をチェックしてくれます。
また、任意後見契約は、成年後見制度とは異なり、自身が委任したいことを自由に決めることができますので、内容の自由度が高く、よりご自身の要望に沿った財産管理状況を実現することができます。
見守り契約、財産管理委任契約、任意後見契約等をご検討の方は、是非一度、法律事務所瀬合パートナーズにご相談ください。
関連記事