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成年後見を利用したい

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第1 成年後見を利用する場合

① 認知症が進んだ高齢者の財産の管理をする必要がある
② 認知症が進んだ高齢者との間で遺産分割をする必要がある
③ 共有不動産を売却したいが、共有者の中に認知症が進んだ人がいる
④ 認知症が進んだ高齢者について入院・施設への入所をする必要がある
⑤ 認知症が進んだ高齢者がした契約を取り消したい・新しく契約したい
⑥ 認知症が進んだ高齢者が裁判をする必要がある

このような事情があるときは、成年後見制度(法定後見制度)を利用することを検討することになります。

成年後見はやわかり(厚生労働省)

認知症でない場合や、判断能力に問題のない高齢者の場合は、将来財産管理ができなくなったときに備えて、

任意後見契約
信託
の利用を検討することになります。
任意後見契約や信託は、判断能力を有するうちに自分で契約をするので、将来の財産管理や将来の生活についての自己の希望を反映することが可能になります。

第2 成年後見制度のデメリット

成年後見人をつけるメリットは大きいですが、一方で以下のようなデメリットもありますので、それを踏まえた上で、成年後見制度を利用する必要があります。

1 成年後見人に報酬を支払う必要がある

 弁護士や司法書士などの専門家が成年後見人に選任された場合、保有している資産額などに応じて月額2~6万円程度の成年後見人の報酬が発生します。なお、この報酬は、成年被後見人本人の財産から支出されますので、親族等が負担する必要はありません。

2 希望する成年後見人が選任される訳ではない

 自分が成年後見人になって本人の財産管理等をしたいと思って、成年後見人の選任の申立てをしても、必ずしも自分が希望する成年後見人が選任される訳ではありません
 例えば、親族間に紛争がある、本人について法的に解決すべき問題がある等の事情がある場合、弁護士などの専門家が成年後見人に選任されることが多いです。

3 成年後見の申立てをすると取り下げることができない

 家庭裁判所に対して、一度、成年後見の申立てをすると、家庭裁判所の許可がない限り取り下げることはできません(家事事件手続法121条1号)。
 例えば、自分が成年後見人になろうと思っていたのに弁護士が選任されそうなので申立てを取り下げたい、成年後見人候補者が気に入らない、気が変わった、成年後見制度が自分が考えていたものと違った、などの事情では成年後見の申立てを取り下げることができません。

4 途中で成年後見制度の利用をやめることができない

 一度本人について成年後見人が選任されると途中で利用を止めることができず、本人が亡くなるまで成年後見人が続くことになります。
 例えば、遺産分割のために必要だからということで、成年後見制度を利用した場合、遺産分割が終了した後も、本人が亡くなるまで成年後見制度が続くことになり、成年後見人に報酬を支払い続けなければなりません。

5 成年後見人の財産管理方針に従うことになる

 例えば弁護士などの専門家が成年後見人に選任された場合、親族の希望と成年後見人の財産管理方針が合わない場合も起こり得ます。
 例えば、本人のために〇〇を買ってあげたい、豪華な旅行に連れて行ってあげたい等と親族が考えたとしても、成年後見人が本人のために必要がないと判断すれば、それを本人の財産から支出することができなくなります。

6 申立てから選任まで時間と手間がかかる

 成年後見人の選任を申立てる場合、家庭裁判所が求める必要な書類を収集して申立書を作成しますが、診断書など資料の取り付けに時間と手間がかかります
 また、家庭裁判所に申立てを行った場合も、追加で資料の提出を求められたりすることがあるので、家庭裁判所の審判を得るまでに時間がかかります。このため、すぐに成年後見人を選任して欲しい、と思ってもすぐに選任できず、選任まで数か月~の時間がかかることになります。

第3 申立手続きの流れ

1 家庭裁判所への申立て

 まず、本人の住居地を管轄する家庭裁判所に申し立てる必要があります。
書式は、裁判所のホームページからもダウンロードすることができます。
申立てができるのは、本人、配偶者四親等内の親族(子、親、叔父叔母、いとこ)などに限られます。

成年後年人選任の申立書のダウンロード(裁判所)

また、主治医などに診断書を作成してもらう必要があります。この診断書の内容をもとに、後見・保佐・補助のどれにあたるかを判断するためです。

成年後見制度における鑑定書・診断書作成の手引(裁判所)

その他、申立手数料(収入印紙800円)、郵便切手、登記手数料、戸籍謄本等の書類が必要となります。

後年開始の手続きの概要(裁判所)

2 審理(審問・調査・鑑定など)

 申立てがなされると、家庭裁判所で審理が始まり、裁判所の職員が本人や本人の親族と面接を行い、本人の状況や事情を伺います。

 本人の判断能力がどの程度あるかを医学的に判定するために、鑑定が行われることもあります。この場合には、申立て時に提出した診断書とは別に、家庭裁判所が医師に鑑定を依頼することになります。

3 審判

  •  家庭裁判所は、調査結果や資料に基づいて、後見等の開始の審判をするとともに、最も適任と思われる者を成年後見人等に選任します。事情に応じて、弁護士や司法書士などの第三者を成年後見人等に選任することもあります。

 以上が成年後見制度の概要となります。自分で手続をすることもできますが面倒な手続が必要となるので弁護士に依頼するというのも一つの方法です。
 成年後見制度の利用を検討されている方は、是非一度法律事務所瀬合パートナーズにご相談ください。

 

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