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再婚夫婦の相続トラブルについて

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第1 再婚夫婦の相続はトラブルが起こりやすい

 再婚した夫婦においては、人間関係が複雑になるために相続トラブルが起こりやすいです。つまり、①再婚後の配偶者、②再婚後の配偶者の子(連れ子)、③再婚後の配偶者との間の子(実子)、④前妻との間の子、などの人間関係があり、その中で複雑な感情のもつれもあり、相続においてトラブルが生じやすいのです。では、再婚夫婦の相続の場合は、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。

第2 生前対策をしておく

1 遺言書の作成

 相続発生後に生じると思われるトラブルを回避するために、生前にできることとして、遺言書の作成があります。遺言書を作成すれば、誰に何の財産を渡すか、自分で決めることができます。例えば、再婚後の配偶者が今住んでいる自宅は配偶者に相続させ、子どもには預金などのその他の財産を相続させるという内容や、前妻との間の子には遺留分程度の遺産だけを遺し、再婚後の配偶者との間の子には多めに遺産を相続させるという内容など、遺言書を作成すれば、今の家族の状況に合わせて、適切な形で遺産を遺すことができます。
 なお、遺言書を作成する場合は、公正証書遺言にすることがおすすめです。また、配偶者と子どもには遺留分という法律で保障された最低限の相続分がありますので、遺留分に配慮した遺言書にすることもポイントです。

2 生前贈与をする

 遺言書作成にも似ていますが、生前贈与を活用することも一つの方法です。すなわち、遺産を多めに渡したい相続人がいる場合は、自分が元気なうちに、生前贈与という形で遺産を前渡ししておくのです。
 生前贈与をする場合は、贈与税が生じる場合がありますので、例えば、1年間で110万円の基礎控除の範囲内で贈与を行う、贈与税の税率が低い金額の範囲での贈与を行うなど、計画的に生前贈与を行うのが良いでしょう。
 また、生計の資本となる多額の生前贈与を行った場合は、特別受益となり遺産分割の際にこれが考慮されることがあります。

3 生命保険の受取人にしておく

 遺産を多く渡したい相続人を受取人にして、生命保険を契約する方法もあります。生命保険金は、遺産には含まれないので、受取人に指定された相続人は、基本的に、生命保険金を受け取った上で、遺産分割において法定相続分の割合で遺産を相続することができます。
 また、生命保険金については、相続税において「500万円×法定相続人の数」の金額の非課税枠がありますので、相続税の節税にもつながります。

4 信託

 近年増加傾向にあるのは信託の利用です。これは、大ざっぱに言うと、委託者が生前に受託者に自分の財産の管理を委託し、その利益を受ける人(受益者)を設定する契約です。
 信託は契約であるため、自由度が高いのが特徴で、遺言では実現できないことを実現することが可能となります。例えば、自分の死後、再婚後の妻に自宅に住まわせて、その妻が亡くなった後は、前妻の子にその自宅を取得させるなど、自分の財産を最初に取得する人を決めた後、その次に取得する人を指定することなどが可能となります。
 信託は、各家庭の様々なニーズに応じて設計することが可能です。成年後見のような役割を果たすものや、相続の役割を果たすもの、その両方を併せ持つものなど契約内容によって実現可能です。元気なうちにこのような信託契約を締結しておくのも有効な方法でしょう。

第3 子どもとの関係

1 再婚後の配偶者の連れ子との関係

 再婚後の配偶者に連れ子がいる場合、連れ子との間で養子縁組をしていなければ、法律上の親子関係は生じません。このため、養子縁組をしていない連れ子は相続人にはなりません。このため、このような連れ子に遺産を渡したいと考える場合は、遺言書を作成してその旨を記載しておくか、養子縁組をしておくことが必要です。
 連れ子と養子縁組をしている場合は、縁組により法律上の親子関係が生じますので(民法727条)、実子と同じ扱いとなります。このため、養子縁組をしている連れ子は、子として相続する権利を有します。

2 再婚後の配偶者との間の子との関係

 再婚後の配偶者との間にできた子ども(実子)は、子であるため当然ながら相続人となります

3 前妻との間の子との関係

 前妻との間の子も、子であるため相続人となります。前妻との間の子も、再婚後の配偶者との間の子も、養子縁組をした連れ子も、法定相続分は平等になります(民法900条4号)。このため、例えば、前妻の子に遺産をあまり相続させたくないと考える場合や、特定の財産(株式や不動産など)を相続させたくないと考える場合は、遺言書を作成してその旨を記載しておく必要があります。
 また、前妻との間の子も、実際には交流がなくても、子である以上、遺留分(関連記事:遺留分とは)を有します。このため、前妻の子に全く相続をさせないということは基本的には難しいと言えます。

 

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