神戸・姫路の弁護士による相続相談弁護士法人法律事務所瀬合パートナーズ(兵庫県弁護士会所属)神戸駅1分/姫路駅1分

遺産分割問題でお困りの方へ

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第1 遺産分割の問題は誰にでも起こります

 遺産分割の問題は、資産家の家庭に限らず、ごく普通の家の相続でも起こり得ることです。比較的仲が良かった兄弟間、親子間でも遺産分割をめぐって争いが起きているのが現実です。

 争いにならないよう当事者で話し合いを行い、円満に解決することができればそれが一番良いのですが、事情によってはそれができない場合もあります。そのような場合は、家庭裁判所で調停や審判をしなければならない場合もあります。

第2 遺産分割が難しくなるケースとは

 具体的に、以下のような場合に、遺産分割協議がうまくいかないことがあります。相続人の一部のみに有利な遺産分割になっているような典型的なケースの他、そもそも相続人の一部と話自体ができないという場合もあります。このような場合は、解決が難しくなるケースもありますので、場合によっては弁護士にご相談いただくことをお勧めします。

【弁護士に相談した方が良いケースの一例】

・協議で自分だけ不利な内容になっている
・相続人の一部が話し合いに応じない
・相続人が遺産を開示してくれない
・遺産の評価で争いがある
相続財産を使いこんだ相続人がいる
多額の生前贈与を受けた相続人がいる
相続人が多すぎて話ができない
・相続人と連絡が取れない
・相続人同士の仲が悪い、疎遠である
・相続人の中に認知症の人がいる
遺留分を請求したい、請求された
・弁護士から遺産分割協議書が届いた
・遺産分割調停が申し立てられた
・二代、三代前の相続が未了である

第3 調停や審判を行う必要がある場合とは

 遺産分割においては、どうしても調停や審判などの法的手続を取らなければ解決が難しいケースが存在します。調停や審判と聞くと裁判所が関与することになるので、一般的には大ごとになる印象があるかもしれません。しかし、調停は、実際にはそのようなイメージとは違い、冷静に話し合いを進め、遺産分割問題を確実に解決の方向に進められる有効な手続です。このため、遺産分割問題がスムーズに進まない場合は、臆することなく調停を活用するのが良いかもしれません。
 具体的に、以下のような場合には、調停を利用して解決することを検討します。

1 相続人と話し合いができない場合

 遺産分割は、相続人全員で行わなければ無効になります。何らかの理由で相続人の一部と遺産分割の話し合いができない場合は、遺産分割調停や審判を申立てて、遺産分割を成立させる必要があります。

 相続人の一人の連絡先が分からない、そもそも相続人が誰かわからない、相続人の一人が行方不明で話し合いができない場合など、相続人自体が不明である場合は、まずはその相続人の住所を住民票で調査するところから始めます。

 相続人の居場所は分かっているけれども、その相続人の健康状態が悪い、認知症であるなどの理由で話し合いができない場合は、場合によっては成年後見人を選任するなどして遺産分割協議を進める必要があります。

 また、例えば、相続人が10人以上など多数の相続人がいて意見をまとめることが困難である、そもそも相続人全員と話をすることが物理的に無理であるという場合は、相続分の譲渡や放棄を活用して相続人の人数を減らす、家庭裁判所で審判で決めてもらう等の対応を取る必要がある場合があります。

・相続人が話し合いに応じない
・相続人と連絡が取れない
・相続人が行方不明である
・相続人の一部が認知症である
・相続人が多数存在する

2 相続人と話し合いができるが内容で折り合いがつかない場合

 相続人と遺産分割の話し合いができても、協議がどうしても折り合わない場合は、遺産分割調停を申し立てて話し合いを進める必要があります。また、調停でも話し合いがつかない場合は、審判で裁判所に決めてもらわなければ解決できない場合もあります。

 法律で相続分が決められているにも関わらず、その法定相続分に全く合わない遺産分割案を主張してくる相続人もいます。

 また、そもそも遺産が開示されておらず、遺産の内容が分からないから遺産分割の話に応じたくても応じられないという場合があります。その場合は、こちらで独自に銀行に照会をかけるなどして調査を行った方が良い場合があります。

 遺産分割の話し合いの中で大きな問題となるものの一つが、遺産の評価です。特に不動産などは、お互いの主張する評価額に数百万円以上の差がある場合も珍しくありません。評価額をいくらとするかによって、自分が相続する金額が大きく変わってくることになります。このため評価額については、お互いの主張の対立が激しく、最終的には家庭裁判所で鑑定をして評価額を決めなければ解決しない場合もあります。

・協議で自分だけが不利な内容になっている
・相続人が遺産内容を開示してくれない
・相続人がどうしても遺産分割の内容に納得しない
・遺産の評価に争いがある

第4 厳密には遺産分割の問題ではないものとは

 遺産分割の問題と近接している問題であるけれども、厳密には遺産分割の問題ではないものもあります。例えば、以下のような問題は、遺産分割の問題とは別の問題になります。これらの問題で争いになって遺産分割の話し合いが前に進まない場合は、これらの問題を遺産分割の話し合いの中で解決することを諦め、遺産分割の話と切り離して民事訴訟で解決するなどの対応が必要となります。

・相続財産が生前・死後に使い込まれている
・葬儀費用の負担を求められている
・遺留分を請求したい
・遺留分を請求された
・養子縁組の無効、婚姻の無効、親子関係の不存在など身分関係に争いがある

第5 解決までの一般的な流れ

 遺産分割の流れとしては、まずは①相続人と相続財産を確定し、②相続人全員で遺産分割協議を行い、③協議がまとまらなければ家庭裁判所に遺産分割調停を申立て、④調停が不成立になった場合は、家庭裁判所の審判で遺産分割の内容を決めてもらう、⑤遺産分割が決まれば具体的な相続手続を行う、という流れになります。以下、詳しく見ていきましょう。

1 相続人と相続財産を確定する

 遺言がない場合には、相続人間で遺産分割協議を行うことになります。これは必ず相続人全員で行わなければならず、相続人が一人でも欠けているとその合意は無効となってしまいます。
 また、その相続人の法定相続分(法律で決められた相続分)の割合がいくらであるかも確認しておきます(2分の1、4分の1など)。
 遺産分割をする財産に漏れがあった場合、その財産については再度遺産分割協議を行って分割方法を決めなければなりません。
 このため、遺産分割を行う前提として、相続人や相続財産を確定させることが肝心です。

2 遺産分割協議を行う

 遺産分割の手続は、①遺産分割協議→②遺産分割調停→③遺産分割審判という3段階に分かれます。
 ①遺産分割協議とは、相続人同士の話し合いのことであり、これは特に決まった方式があるわけでは ありません。相続人全員の合意があれば、各相続人の相続分や、財産の分割方法について自由に定めることができます。
 このとき、自分の相続分に応じた遺産を取得できるように協議を行うことが理想です。一人の相続人が遺産を多く取得しようとしている場合や、多額の生前贈与を受けている場合などは、この遺産分割協議で調整する方向で話し合いを行います。
 話し合いがまとまった場合には、遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書には、どの財産を誰が取得するのかということを明確に記載し、相続人全員がそれに署名押印して完成させます。このとき、協議書には実印で押印して、印鑑証明書を添付します。

3 遺産分割調停の申し立てを行う

 話し合いがまとまらなかった場合には、②遺産分割調停を家庭裁判所に申し立てた方がよい場合があります。この段階から、裁判所が関与することになります。相続人間の協議には応じない相続人でも、調停になれば話し合いには応じてくることがよくあります。

 調停では、調停委員が間に入って話をしてくれるため、話し合いをしにくい相続人とも話をしやすくなるというメリットがあります。また、家庭裁判所・調停委員が介在するため、相続人間だけで話し合いを行うのに比べ、相手が法的に無茶な主張をしにくくなる場合があります。

 調停において遺産分割の話し合いがまとまれば、家庭裁判所が調停調書を作成します。取得した遺産については、この調停調書をもって、銀行口座や不動産登記などの名義変更手続を行います。

 調停で話し合いがまとまらなかった場合には、③遺産分割審判という手続に移行します。
審判では、家庭裁判所が双方の主張を聞いた上で、各相続人の相続分や分割方法について判断を下すことになります。このため、相続人の一部が調停での話し合いを拒否した場合でも、審判によって遺産分割の内容が決まります。

 

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