遺留分を圧縮する方法
遺言を作成する際には、遺留分対策が必要不可欠です。遺留分とは、法定相続人が相続財産の一定部分を相続することを民法上保障する制度です。具体的には、原則、法定相続分の2分の1、例外として①父母のみが相続人の場合、相続財産の3分の1、②配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合、配偶者の遺留分は相続財産の2分の1です。なお、兄弟姉妹には遺留分は認められませんので、ご注意ください。
1 遺留分を圧縮する方法
では、遺言を作成する側として、この遺留分を圧縮する方法はないのでしょうか。ここで、遺留分額の計算方法を思い出してください。
(遺留分額の計算方法)
【遺留分額=相続財産×法定相続分×遺留分割合】
そうです!①相続財産を減らすか、又は(及び)②法定相続分を小さくすればよいのです!
2 ①相続財産を減らす方法
まず、相続財産を減らす方法ですが、最も簡便なのは生命保険に加入することです。
生命保険は民法上相続財産ではなく、遺産分割の対象外として扱われます。ですので、遺留分の影響を受けません。但し、これも無制限ではなく、「相続人間で生ずる不公平が著しい」と認められる特段の事情がない限り、という制限があることにご留意ください(最高裁平成16年10月29日判
決参照)。
上記特段の事情の有無については、諸般の事情が考慮されますが、一般的には、遺産総額の50%程度がメルクマールではないかといわれています。
3 ②法定相続分を小さくする方法
もう一つの方法が、法定相続分を小さくする方法です。具体的には相続人を増やす=養子縁組をする方法です。税法上、法定相続人の対象となる養子縁組の人数には限りがありますが、民法上は人数に限りはありません。但し、法定相続人の数が増えてしまうことに比例して、争族の発生リスクが高まります。また、養子縁組の効力自体を争われるリスクもあります。
このような事情からこちらの方法はあまりお勧めできません。
4 まとめ
遺言を作成される際には、上記もご参考にしていただきながら、遺留分対策をしてみてください。遺言作成や遺留分対策にお悩みの方がいらっしゃいましたら、相続に詳しい専門家にご相談されることをお勧めします。
弁護士法人法律事務所瀬合パートナーズ
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