相続を弁護士に依頼するメリット
相続問題を弁護士に依頼するメリットは、以下のようなものがあります。
① 相続人との交渉を代行してもらえる
② 遺産分割を有利に進めてもらえる
③ 財産調査や相続人調査を代行してもらえる
④ 面倒な相続手続を代行してもらえる
以下、これらのメリットを具体的に説明していきたいと思います
第1 相続人との交渉を代行してもらえる
相続人間で遺産分割協議をすると、互いに感情的になったりして話が進まず、話し合いをすること自体がストレスになることがあります。
弁護士に依頼すると、弁護士が相続人との交渉を代行してくれもらえるため、そのストレスがなくなります。
第2 遺産分割を有利に進めてもらえる
自分で遺産分割協議を進めていると、本来もっと遺産を取得することができるのに、それに気づかずに不利な条件で遺産分割をしてしまうことがあります。
弁護士に依頼すると、弁護士が色々な側面からチェックをして進めるので、法的に不利になったり遺産相続で損をしたりすることがなくなります。
第3 財産調査や相続人調査を代行してもらえる
被相続人の遺産の存在が分からない場合は、複数の金融機関に問い合わせて取引の有無を調査したり、不動産の有無やその評価額などを調べるなどして、どのような遺産があるかを調査する必要があります。
また、被相続人と疎遠であったなどの事情で、他の相続人が誰であるかわからないような場合、被相続人の戸籍謄本を遡って相続人の氏名や住所を調べる必要があります。
これらの調査はもちろん自分で行うことも可能ですが、時間や手間がかかります。
弁護士に依頼すれば、これらの面倒な調査を弁護士に代行してもらうことができます。
弁護士が調査したときに、全く知らなかった遺産が見つかった、他にも相続人がいたことが判明したケースもあります。
他にも相続財産があるのに、気づかずそのまま遺産分割協議等をまとめてしまうと、その後、新たに財産が見つかったときに再度遺産分割協議書を作り直す必要があるなど、手続が煩雑になります。
また、法定相続人が1人でも欠けると、その遺産分割協議は無効となりますので、相続人全員を調査することは必須です。
第4 面倒な相続手続を代行してもらえる
遺産分割で自分が相続する財産が決まっても、取得した遺産を自分の名義に変える手続が必要です。
手続自体は難しいものではなくても、指定された書類をきちんと提出する必要があるので、相続した財産が多数ある場合などは、特に手続が非常に面倒です。
この点、弁護士に依頼すれば、この面倒な手続も弁護士が代行してくれるため、面倒な相続手続から解放されます。
第5 弁護士に依頼した方がよいケースとは
相続問題を弁護士に依頼した方が良いケースは、以下のとおりです。
① 使途不明金や遺産の使い込みが疑われる場合
② 遺産分割協議が長期にわたって進まない場合
③ 相続人がわからない・行方不明である場合
④ 他の相続人が海外にいる場合
⑤ 遺産の中に不動産が多数存在する場合
⑥ 遺留分侵害がある場合
⑦ 不公平な生前贈与がなされている場合
⑧ 遺言が無効であると疑われる場合
以下、これらについて具体的に見ていきます。
1 使途不明金や遺産の使い込みが疑われる場合
他の相続人による遺産の使い込みが疑われる場合、他の相続人からは「被相続人のために使った」「被相続人から贈与を受けた」等と主張されることが多く、また感情面も絡んで、相続人間で大きな対立となることがあります。
このため追及する側としては、銀行口座の取引履歴や、本人の健康状態に関する資料、本人の生活状況に関する資料等を収集し、きっちり証拠を集めておくことが非常に重要となります。
また、使途不明金について、他の相続人から領収書が提出され全ての使途が明らかとなることは稀であり、裁判で決着をつけなければならないことも多くあります。
裁判になれば自分で対応することは難しいため、基本的には弁護士に依頼して対応することになります。
このためこのようなケースでは、早い段階から弁護士に依頼するのが良いと言えます。
2 遺産分割協議が長期にわたって進まない場合
相続人間で遺産分割協議を進めていたものの、主張が対立して話し合いが進まなくなった、相手が話し合いに応じなくなった、というような場合も弁護士に依頼する方が良いケースと言えます。
弁護士が代理人として入ることで、相手が態度を変えたり、相手も弁護士をつけるなどして、話し合いが前に進むことがあります。
また、相手によっては、遺産分割調停や裁判を起こさなければ前に進まないというケースもあります。
このため、話し合いが進まなくなった段階で早めに見切りをつけ、弁護士に依頼することが解決の近道になることがあります。
3 他の相続人がわからない場合や行方不明である場合
そもそも他の相続人が誰かわからないという場合は、被相続人の戸籍をたどって相続人の氏名や住所を調査する必要があります。
相続人が判明したとしても、その相続人とは関係が疎遠であり、他人同然の関係であることがほとんどです。
どのような人か分からない人との間で、突然、遺産分割の話し合いをするというのは、心理的に非常にハードルが高いです。
また、相続人の中に行方不明の人がいる場合は、その所在や生死を調査した上で、遺産分割協議を行うことができるのか、遺産分割調停を申立てて解決できるのか又は不在者財産管理人を選任しなければならないのか等、適切な解決方法を選択する必要があります。
弁護士に依頼をすれば、相続人の調査、相続人との協議の代行、適切な法的手続の選択をしてもらうことができます。
4 相続人が海外にいる場合
海外在住者で日本に住民票がない場合は、遺産分割協議をするにあたっては、必要となる書類が通常の相続の場合と異なります。
また、話し合いが進まないときに、調停の申立てをして解決するのが適切な場合があります。
弁護士に依頼して、最も適切な方法を選択することで早期解決につなげることができます。
5 遺産の中に不動産が多数存在する場合
遺産分割において、最も大きな争いになるものの一つが不動産です。
不動産をどう評価するかによって、自分が取得する遺産額が大きく左右されます。
特に遺産の中に不動産が多数存在する場合や、価値が高い不動産があるような場合は、不動産を適切な金額で評価することが非常に重要になってきます。
このため弁護士に依頼して不動産を適切な金額で評価することにより、遺産分割で損をしたという事態を防ぐことができます。
6 遺留分侵害がある場合
全財産を相続人の一人に相続させる等、遺留分を侵害する遺言書があって、遺留分を請求したい場合も、弁護士に依頼するのが良いケースと言えます。
遺留分額の計算方法は複雑であり、計算を間違えると、自分で対応すると本来得られるべき遺留分額を得られないこともあります。
また株式や不動産の評価によっても取得することができる遺留分額が大きく変わってきます。
このため、弁護士に依頼して適正な遺留分額を取得できるようにするのが良いと言えます。
7 他の相続人に不公平な生前贈与がなされている場合
他の相続人に不公平な生前贈与がなされている場合、遺産分割においてその相続人の特別受益を主張するなどして、適正額の遺産を確保する必要があります。
特別受益が認められるか、認められない場合はどのように対応するかについては判断が難しいです。
この点、弁護士に依頼すれば、適切なアドバイスを受けながら進めることができます。
8 遺言が無効であると疑われる場合
遺言書があるものの、認知症の親に無理に書かせたものではないかなど、遺言が無効と疑われる場合も弁護士に依頼するのが良いケースだと言えます。
遺言の無効が争いになる場合は、相続人の対立が大きく、話し合いでの解決が困難な場合も多いので、裁判をしなければ解決しないこともあります。
遺言書の無効を争うことが難しい場合は、遺言が有効であることを前提に遺留分を請求することを検討した方が良い場合もあります。
いずれにしろ遺言書の有効・無効の判断は難しいことから、弁護士に依頼して適切なアドバイスを得ながら進めていくのがもっとも良い方法でしょう。