遺産分割協議書を作成したい
第1 遺産分割協議書とは
相続人間で遺産分割の話し合いがまとまったときは、遺産分割協議書を作成します。
遺産分割協議書とは、被相続人(亡くなった方)の遺産を分割する方法を記載した相続人や包括受遺者などが全員で締結する書面です。
遺産分割協議書を作成することで、相続後のトラブル防止につながるだけでなく、不動産の相続登記や相続税申告、預金の解約等の手続きに必要になるため、遺産分割を行う際は必ず作成しましょう。
遺産分割協議書は弁護士などの法律の専門家に作成してもらうのがトラブル防止のためには望ましいですが、自分達で作成することももちろん可能です。
第2 遺産分割協議書の具体例(サンプル)
具体的にどのように遺産分割協議書を作成するのでしょうか。簡単なサンプルをあげてみます。
※内容・住所等は全て架空のものになります。
遺産分割協議書 1 当事者全員は、別紙遺産目録記載の財産が被相続人の財産であることを確認する。 本遺産分割協議の成立を証するため、本協議書4通を作成し、各1通を保有する。 令和〇年〇月〇日 住所 神戸市中央区中町通2丁目1番18号 住所 兵庫県姫路市西駅前町73‐6階 住所 神戸市中央区中町通2丁目1番18号 住所 兵庫県姫路市西駅前町73‐6階 |
(別紙) 遺産目録 1 所 在 神戸市中央区中町通2丁目 2 所 在 神戸市中央区中町通2丁目1番地 3 (一棟の建物の表示) 4 預貯金 |
第3 遺産分割協議書作成のポイント
1 被相続人や相続人を明確にする
被相続人(亡くなった人・相続される人)と相続人(相続する人)を明確に特定します。
具体的には、氏名・本籍・住所・生年月日・続柄などを記載します。
住所・氏名は、印鑑証明書のとおりに記載します。
2 遺産の特定
遺産目録を添付するなどして遺産を特定します。
遺産をきちんと特定していないと、後日取得した遺産について名義変更ができない場合があるためです。
⑴ 不動産の場合
登記事項証明書の記載のとおりに記載します。
一般的な住所の表示と、登記事項証明書上の地番・家屋番号は異なることが多いので注意しましょう。
土地の場合は、登記事項証明書記載のとおり、所在、地番、地目、地積、持分である場合は持分を記載します。
建物の場合は、所在、家屋番号、種類、構造、床面積を記載します。
⑵ 預金の場合
預金の場合は、銀行名、支店名、種類、口座番号を正確に記載して特定します。
そのときの残高まで正確に記載する必要はありません。
3 誰が何を相続するかの明示
遺産目録等で特定された財産について、誰がどの財産をどのくらい相続するかを明らかにしましょう。
4 あとから遺産が発見された場合の取り扱い
遺産分割協議の時点では見つかっていなかった遺産や債務が後日見つかることがあります。そのような場合の分割方法についても定めておきましょう。
5 相続人全員の署名押印
遺産分割協議書の末尾に、相続人全員で署名押印を行います。氏名は自署し、実印で押印します。
後日のため各人の印鑑証明書を添付することが望ましいです。
6 相続人の数だけ書類を作成
各相続人が協議書を1通ずつ保有できるよう、相続人の数と同じ数の遺産分割協議書を作成しましょう。
第4 遺産分割後にやるべきこと
1 不動産の名義変更
相続により不動産を取得した場合は、不動産の名義変更をします。
相続登記の申請は、司法書士に依頼するのが一般的です。
この登記申請の際に、遺産分割協議書の原本を添付します。原本を後日還付(返還)してもらうよう請求することも可能です。
2 預貯金の名義変更・解約払戻し
相続により預貯金を取得した場合、払戻しや名義変更をしてもらう際にも、遺産分割協議書が必要となります。
その他、戸籍謄本一式、その金融機関の様式による書類の提出が求められることも多いです。
3 相続税の申告
遺産分割協議の結果をもとに相続税を申告する場合には、遺産分割協議書を添付して税務署に提出する必要があります。
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