遺産分割協議書のひな型を使う場合
第1 遺産分割協議書のひな型を使う場合
インターネットで検索すれば、遺産分割協議書のひな形がたくさん見つけることができます。今では、色々な種類のひな型を見つけることができますし、それらを参考にすれば、何といってもお金をかけることなく簡単に遺産分割協議書を作成することができます。
まずはインターネットで検索し、自分達のケースに似ている遺産分割協議書のひな型を探してみましょう。そして、それを参考にして、自分達のケースに当てはまる内容に修正して完成させます。
遺産分割協議書のひな型を参考にして遺産分割協議書を作成する場合、どのような点に気をつけて作成すれば良いでしょうか。
第2 当事者を正確に記載する
まずは、当事者について正確に記載して、当事者が特定できるようにすることが必要です。遺産分割協議書に出てくる当事者は、被相続人(亡くなった人)と相続人全員となります。
当事者の氏名と住所は、住民票や印鑑登録証明書に記載されている通りに記載しましょう。もし、ここに記載内容不備があった場合、登記手続やその他の相続手続ができない場合があります。
被相続人については、本籍地や最後の住所地、死亡日などを記載して特定します。子の記載も、除籍謄本などに記載されている通りに正確に記載します。
細かいですが、漢数字や算用数字、丁目、番地、号なども住民票の記載どおりにします。また、旧字体、新字体なども区別するようにしましょう。
第3 遺産を正確に記載する
次に、遺産の内容も、特定ができるように正確に記載することが必要です。
遺産分割協議書には「遺産目録」という遺産の一覧を記載した書面を添付し、「遺産目録の1に記載している財産は、相続人〇〇が取得する」というように記載することも多いです。
1 不動産の特定
不動産の場合は、法務局で不動産の登記事項証明書を取得し、その登記事項証明書に買いてある通りに記載します。一般的に使用している住所の番地と、登記されている地番は一致しないことが多いので、注意が必要です。
また遺産がマンションの場合(区分所有建物)の場合は、一棟の建物の表示、敷地権の目的である土地の表示、占有部分の建物の表示、敷地権の表示など全て記載する必要があります。
2 動産の特定
動産はあまり遺産分割の対象とすることは少ないかと思いますが、価値のある動産の場合は、遺産分割協議を行い、誰がその動産を取得するかを遺産分割協議書に記載することがあります。
自動車など登録があるものについては、車検証の記載のとおりに記載します。具体的には、車名、登録番号、名義人等の記載をします。
その他の動産については、特定のためにどのように記載するか難しい場合もあります。「(自宅などの建物)の中にある動産全部」などと特定したり、場合によっては、動産の写真を撮影してその写真を添付するなどの方法を取ることが考えられます。
3 預貯金
預貯金については、銀行名、支店名、種類(普通、定期等)、口座番号、口座名義人の記載で特定します。
第3 誰が何を取得するかを明らかにする
遺産分割協議書には、誰が何を取得するかを明確に記載する必要があります。
上述した遺産目録を正確に作成すれば、「相続人〇〇は、別紙物件目録記1記載の不動産を取得する。」などと記載すれば良いので、遺産目録を活用して作成することがおすすめです。
第4 当事者の署名押印と印鑑証明書の添付
遺産分割協議書の末尾には、作成年月日と、相続人全員が住所と氏名を記載し、押印をします。印は実印で行い、相続人全員の印鑑登録証明書の原本を添付する必要があります。
当事者の住所は、上述のとおり、住民票または印鑑登録証明書の記載の通りに記載します。
第5 相続人の数だけ遺産分割協議書を作成する
遺産分割協議書は、遺産分割協議に参加した全相続人が、それぞれ1通ずつ所持することができるよう相続人の数と同じ通数を作成します。
印鑑証明書一式(相続人全員分)も、遺産分割協議書の通数と同じ数だけ揃えます。
第6 遺産分割協議書に不備があった場合
雛形は、あくまで一般的なケースをもとに作成されています。このため、ご自分の関係している相続が一般的なケースではないにもかかわらず、ひな型通りに作成すると、不備が生じる可能性があります。遺産分割協議書に不備があった場合、登記やその他の相続手続ができず、遺産分割協議書を作り直さなければならないこともあります。
しかし、苦労の末にまとまった遺産分割協議について遺産分割協議書をもう一度作り直し署名押印をもらうというのは多大な労力が必要となります。
このため、ひな型を使って遺産分割協議書を作成した場合は、弁護士やその他の専門家に内容を確認してもらうのが安心でしょう。
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