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遺産分割後に新たに相続財産が発覚した

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 遺産分割協議が終わった後、新たに相続財産が見つかった場合、どうすればよいのでしょうか。この記事では、遺産分割後に相続財産が新たに発覚した場合の対処法について解説します。

第1 完了した遺産分割協議の効力

 遺産分割後に相続財産が新たに発覚しても、原則として、すでに完了している遺産分割協議には影響を及ぼすことはありません。新たに発覚した相続財産については、その財産についてのみもう一度遺産分割協議を行えば良いことになります。
 しかし、例外的に、新たな相続財産の発覚が完了した遺産分割協議の効力に影響する場合があります。具体的には、以下の場合です。

1 相続人の一人が相続財産を隠していた場合

 例えば、相続人の一人が重要な相続財産を隠していたような場合、他の相続人は、前提となる重要な遺産の存在について誤った認識を持った状態のもとで遺産分割に合意したことになります。
 もし隠されていた財産の存在を知っていたのであれば、このような遺産分割に合意しなかったと言えるような場合であれば、他の相続人は、遺産分割協議の錯誤取消し(民法95条)等を主張して遺産分割協議のやり直しを求めることができます。

2 新たに発覚した相続財産の価値が高い場合

 また、新たに発覚した相続財産の価値が高い場合にも、遺産分割の前提となる遺産の内容について、重大な誤解があったと言えます。このような場合も、その財産の存在を遺産分割当時に知っていたのであれば遺産分割に合意しなかったといえるような場合は、遺産分割協議の錯誤取消し(民法95条)を主張し、遺産分割協議のやり直しを求めることができます。

第2 新たに借金の存在が明らかになった場合

 では、新たに発覚した相続財産が借金であった場合はどうでしょうか。もし、遺産分割協議前に、プラスの相続財産よりも債務の方が多いと知っていれば相続放棄していたような場合、遺産分割協議後でも相続放棄はできるのでしょうか。
 残念ながら、遺産分割協議をした後は、原則として相続放棄をすることはできません。遺産分割協議を行ったということは、相続財産を処分したものとして、単純承認したとみなされるためです(民法921条)。単純承認した場合は、被相続人の権利義務を承継することになり(民法920条)、相続放棄することはできなくなります。

第3 相続税申告はどうするか

 相続税申告書を提出した後に、新たな相続財産が見つかった場合はどうなるのでしょうか。この場合、申告期限内であれば、訂正をしたうえで不足分を追加で納税すれば問題ありません。
 申告期限を既に過ぎてしまった場合、相続税の修正申告又は期限後申告を行う必要があります。納付税額に不足があるときは延滞税がかかることになりますので注意が必要です

第4 紛争を予防するには

 このようなトラブルを防ぐために、最初の遺産分割協議で基礎付けるべきポイントは以下の2つです。

1 相続財産の調査を念入りに行う

 遺産分割協議を行う前に、相続財産の調査を念入りに行って、相続財産の漏れをなくすようにしましょう。相続財産が多い場合や、被相続人と生前にあまり付き合いがなく財産をよく知らないというような場合は、弁護士に相続財産の調査を依頼することも有用です。

2 新たに相続財産が見つかった場合の対処についても取り決めておく

 遺産分割協議書において、新たに相続財産が見つかった場合の対処法を明記しておけば、新たに遺産分割協議をする必要がなくなります。例えば、遺産分割協議書において「新たに相続財産が見つかった場合は●●が取得する。」等と記載することを検討しましょう。

 

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