遺産相続で絶縁中の兄弟とは関わりたくない!代理人の活用や放棄のルールを解説
相続のご相談の中で少なくないのが、「兄弟とは長年絶縁状態にあり、できる限り関わらずに相続手続きを終えたい」というお悩みです。
過去のトラブルや価値観の違いから、連絡を取ること自体が精神的な負担になっている方も多く、相続をきっかけに再び関係を持つことに強い抵抗を感じるのは自然なことです。
もっとも、相続は感情だけで進められるものではなく、法律上のルールに従って対応しなければなりません。
本記事では、「絶縁中の兄弟がいる場合の相続」について、親が健在なケースとすでに相続が発生しているケースに分けて解説します。
また、顔を合わせずに手続きを進める方法や、放置した場合のリスク、弁護士に相談するメリットまで詳しくご説明します。
法律上の「絶縁」と兄弟の相続権について
まず理解しておきたいのは、法律上「絶縁」という制度は存在しないという点です。
どれほど長期間連絡を取っていなくても、感情的に縁を切っていたとしても、それだけで兄弟の相続権が失われることはありません。
被相続人(亡くなった方)の子どもである以上、兄弟姉妹は法定相続人となり、原則として平等に相続権を持ちます。
「仲が悪い」「何十年も会っていない」「迷惑をかけられた」という事情があっても、それ自体は相続権に影響しないのが日本の相続制度です。
そのため、絶縁状態にある兄弟がいる場合には、「関わりたくない」という気持ちと、「法律上は無視できない」という現実との間で悩まれる方が非常に多くなります。
【親が健在な場合】絶縁した兄弟に遺産を渡さない方法

親がまだご存命である場合には、将来の相続トラブルを未然に防ぐための対策を講じることが可能です。
この段階での対応が、将来の精神的・金銭的負担を大きく左右します。
代表的なのが、遺言書の作成です。
親が有効な遺言書を残しておけば、原則として遺言の内容が法定相続分よりも優先されます。
特定の子に多く遺産を残すという内容や、兄弟の一部には相続させないという内容を定めることも可能です。
ただし、兄弟姉妹には「遺留分」がないため、兄弟が相続人となる場合には比較的自由な内容の遺言が認められますが、配偶者や子が相続人となる場合には遺留分の問題が生じるため、専門的な検討が必要です。
また、生前贈与や家族信託といった手法を用いることで、特定の財産を生前のうちに承継させる方法も考えられます。
ただし、安易に進めると税務上・法務上のリスクが生じるため、必ず専門家の助言を受けるべきでしょう。
【相続発生済み】絶縁中の兄弟と顔を合わせずに手続きする方法

すでに相続が発生している場合でも、絶縁中の兄弟と直接やり取りをせずに手続きを進める方法はあります。
✔ 調停を利用する方法
まず一つ目が、家庭裁判所の調停を利用する方法です。
調停を申立てて遺産分割の話し合いをすれば、直接兄弟と顔を合わせることはなく遺産分割の話し合いをすることができます。
✔ 弁護士を代理人とする方法
二つ目は、弁護士を代理人として立てる方法です。
弁護士が窓口となることで、連絡や交渉はすべて代理人を通じて行われ、当事者同士が感情的に衝突するリスクを大幅に減らすことができます。
✔ 相続放棄をする方法
三つ目として、相続放棄という選択肢もあります。
相続放棄をすれば、最初から相続人でなかったものとして扱われるため、遺産分割協議に関与する必要がなくなります。
ただし、相続放棄には「自己のために相続が開始したことを知った時から3か月以内」という厳格な期限があり、判断を誤ると放棄できなくなる点に注意が必要です。
絶縁状態のまま放置するリスク

✓預貯金の解約や不動産の名義変更ができない
相続手続きを放置したままにしていると現実的に不都合な問題が次々と生じます。
たとえば、遺産分割が終わらなければ、被相続人名義の預貯金の解約や不動産の名義変更は原則としてできません。
結果として遺産が「凍結」された状態となり、誰も自由に使えないまま時間だけが経過してしまいます。
✓次の世代(甥・姪)に問題が引き継がれる
さらに深刻なのは、相続問題が次の世代に引き継がれることです。
兄弟の一方が亡くなれば、その子ども(甥・姪)が相続人として関与することになり、当事者が増えることで問題はより複雑化します。
「自分の代で終わらせておけばよかった」と後悔されるケースは決して珍しくありません。
スムーズに解決するために弁護士へ相談を
絶縁中の兄弟が関係する相続問題は、感情と法律が複雑に絡み合い、当事者だけで冷静に解決することが難しい分野です。
無理に自分で対応しようとすると、かえって紛争が長期化するおそれがあります。
弁護士に相談すれば、代理人としての対応はもちろん、相続放棄の可否判断、遺産分割の進め方、将来を見据えた解決策の提案まで、状況に応じたサポートを受けることができます。
「できるだけ関わりたくない」「揉めずに終わらせたい」とお考えの方こそ、早い段階で専門家に相談することが、結果的に最も負担の少ない解決につながります。
相続でお悩みの方は、まずは一度、弁護士へご相談ください。










