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隠された遺産を調査したい

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第1 遺産調査の必要性

 他の相続人が遺産を管理しており、遺産内容を開示してくれない場合、自分で遺産を調査することになります。また、他の相続人から遺産を開示されても、それが十分でなかったり、資料の一部が開示されないこともあります。そのような場合、どのようにして調査すれば良いでしょうか。

第2 遺産調査の方法

 相続人であれば、調査先から遺産について回答を得られる場合がありますが、任意の回答を得られない場合、どのような調査方法があるでしょうか。

1 弁護士会照会制度

 依頼を受けた弁護士が所属する弁護士会を通じて、公務所または公私の団体に対して必要な報告を求める制度です(弁護士法23条の2)。弁護士会に手数料を支払う必要があります(1件6000円程度)。また、照会先の団体が手数料を独自に定めている場合は、その手数料も必要です。
 照会先の団体によっては、回答を得られないことがあります。例えば、税務署からは基本的には回答を得られません。

2 調査嘱託

 家庭裁判所は、必要な調査を官庁などに嘱託し、又は銀行、信託会社等に対して、関係人の預金、信託財産、収入その他の事項に関して必要な報告を求めることができます(家事事件手続法62条)。
 家事調停でもこの調査嘱託を行うことができますが(家事事件手続法258条、62条)、実務では、審判が見込まれるときに認められることが多いようです。
 預貯金の調査嘱託を求めるときは、調停又は審判の手続において、調査嘱託の申立てを行いますが、その際、金融機関名、支店名、口座名義人などの情報が必要となります。調査の対象となる口座が被相続人以外の者の名義の場合は、その名義人の同意が必要となります。
 調査嘱託の方法でも、税務署からは回答が得られないことが多いようです。

3 文書提出命令

 家事審判、家事調停手続においても、家庭裁判所は、文書提出命令を発令することができます(家事事件手続法64条1項、258条1項、民事訴訟法223条)。
 当事者が文書提出命令に従わない場合には、家庭裁判所は20万円以下の過料に処することができます(家事事件手続法64条3項、4項)

第3 預金口座の取引履歴の開示

預金名義人が死亡した場合、相続人全員が預金契約上の地位を承継することになります。このため、共同相続人の一人は、預金契約上の地位に基づき、被相続人名義の預金口座についてその取引経過の開示を求めることを単独で行使することができます。

 預金契約がすでに解約されている場合は、取引経過の開示を求めることができない場合があります。銀行は、預金契約の解約後に、従前の取引経過と解約の結果を報告する義務を負うものの、その報告が完了した後は、契約中と同内容の取引経過の開示義務を負い続けることはできないと考えられるためです。

第4 不動産の調査

 不動産については、市区町村役場で名寄帳を取り寄せることで、被相続人が所有していた不動産を見つけることができる場合があります。名寄帳には、同一市区町村にある不動産が一覧でまとめられています。ただし、名寄帳は、当該市区町村にない不動産は記載されていませんので、市区町村ごとに調査する必要があります。

第5 遺言書の有無を調査する

被相続人が公正証書遺言を遺しているかについて、公証役場で検索することが可能です。公正証書遺言があれば、その中に被相続人の財産の詳細が記載されている可能性があります。

Q1. 亡くなった方について、公正証書遺言が作成されているかどうかを調べることができますか? | 日本公証人連合会 (koshonin.gr.jp)

 遺産の調査についてお悩みの方は、是非一度法律事務所瀬合パートナーズにご相談ください。

 

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