相続回復請求権とは
第1 相続回復請求権とは
被相続人の子であるなど、一見すると相続人であるように見える人が、実は相続人ではなかったと言う場合があります。
例えば、相続人のように見える人が、実は相続欠格者(民法891条)であったり、相続廃除をされていたり(民法893条)、実子ではなかったり、養子であったが養子縁組が無効であった等の理由で、相続権がなかったというような場合です。
しかし、その人(表見相続人)は一見すると相続人に見え、また自身も自分が相続人であると信じている場合もあるので、表見相続人が遺産相続の手続を行い、遺産である預金を取得したり、不動産の相続登記をしている場合があります。
そのような場合、真正な相続人が、その表見相続人に対して、侵害された自己の相続権を回復する請求をすることができます(民法884条)。それが相続回復請求です。
第2 どのような請求権なのか
相続回復請求は、表見相続人によって侵害された「個々の財産」について、真正相続人が「所有権に基づく返還請求を行う」ものとされています。このため「相続回復請求権」という特別な請求権があるということではないとされています。
このため、手続としては、侵害されている個々の財産について、所有権に基づく返還請求等を行うことになります。
第3 5年の消滅時効があることに注意する
相続回復請求権を定める民法884条では、次のように規定されています。
【民法884条】
「相続回復の請求権は、相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から五年 間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から二十年を経過したときも、同様とする。」
つまり、真正相続人が、自分の相続権が侵害されたことを知ったときから5年を過ぎると、相続回復請求を行うことができなくなります。5年という比較的短い期間となっているのは、相続関係を早期に安定させるためとされています。
また相続開始時(被相続人の死亡時)から20年を過ぎた場合も、相続回復請求をすることができません。
第4 相続回復請求のことは弁護士にご相談を
相続回復請求については、実務上はあまりみかけない印象です。また「相続人だと思っていた人が実は相続人ではなかった」という点については、法的な判断が難しいところかと思います。
このため「本当はあの人には相続権がないのではないか」「自分が正しい相続人ではないか」とお悩みの場合は、弁護士にご相談いただくのが良いでしょう。
相続回復請求についてお悩みの方は、法律事務所瀬合パートナーズにご相談ください。
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