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夫婦間の居住用不動産の贈与について

婚姻期間が20年以上の夫婦間の持戻し免除の推定

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婚姻期間が20年以上である夫婦の一方である被相続人が、他の一方に対して、居住する建物または敷地を遺贈または贈与をしたときは、持戻し免除の意思表示があったものと推定されます(民法903条4項)。

本来であれば、被相続人から相続人の一人に対してこのような贈与・遺贈があった場合(特別受益)は、贈与された財産を遺産に戻して遺産分割の計算を行わなければなりません。

しかしながら、婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用の不動産を贈与した場合は、この贈与された不動産は遺産に戻さずに、遺産分割の計算を行うことになりました。

これにより、この場合には、配偶者の遺産分割での取り分が増えるという結果になります。

具体例で検討

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具体例で見てみましょう。

・夫が亡くなり、相続人は妻と子の2人
・生前に夫から妻に居住用不動産5000万円が贈与された(特別受益)
・遺産としては預貯金5000万円がある

持戻し免除の意思表示が推定されない場合

婚姻期間20年未満の夫婦の間で贈与された場合などで、持戻し免除の意思表示が推定されない場合は、遺産である預貯金5000万円に居住用不動産5000万円を持戻して、夫の遺産が1億円あるとみなします。

そして、妻と子は相続分がそれぞれ2分の1であるため、相続分は5000万円ずつとなります。

妻はすでに居住用不動産5000万円の贈与を受けているので、それ以上の遺産はもらえないことになり、預貯金5000万円を子がすべて相続することになります。

持戻し免除の意思表示が推定される場合

婚姻期間20年以上の夫婦で贈与されて、民法により持戻し免除の意思表示が推定される場合は、居住用不動産5000万円は遺産とはなりませんので、夫の遺産は預貯金5000万円のみとなります。

そして妻と子が法定相続分に従ってそれぞれ2500万円ずつ相続するということになります。

結論をまとめると、以下の通りになります。

✔ 持戻しをする場合・・・妻は居住用不動産5000万円しか取得できません

✔ 持戻し免除の意思表示が推定される場合・・・妻は居住用不動産5000万円+預貯金2500万円=7500万円を取得できます。

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