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認知症患者の預金を家族が引き出しやすくなるよう全国銀行協会が各銀行に通達

1 現在の状況

ご家族が認知症になられると,入院・通院費や介護費用など何かとお金が必要となる場面が多くなります。そして,この費用を認知症となられたご家族ご本人様名義のお金で支払いたいという場合が多いと思います。実際,認知症患者ご本人がお金をたくさん持っていらっしゃるケースが多く,第一生命経済研究所の試算では,認知症患者が保有する金融資産額は2030年頃にはなんと215兆円に達するとの見通しです。

しかし,いざ銀行の窓口でご本人以外の方がご本人名義の口座からお金を引き出そうとしても,窓口に来られた方がご家族であろうが,ご本人様の入院費だと主張しようが,拒否されることがほとんどでした。

 

2 全国銀行協会からの通達

全国銀行協会は,各銀行に対して,認知症患者の預金を家族が引き出しやすくなるよう,2020年3月に通達を出しました。

また,一般向けへの案内資料も公開されています。この資料によりますと,以下のものをそろえて各銀行に相談に行くと,認知症患者自身の明確な意思が確認できなくても,ご本人の口座からの引き下ろしに対応してもらえる可能性があるようです。

  •  (1)預金者ご本人の①通帳,②キャッシュカード,③銀行届出印
  •  (2)来店者の①本人確認書類,②預金者ご本人との関係性がわかる書類(戸籍抄本など)
  •  (3)お金が必要な理由がわかる資料(入院や介護施設費用の請求書など)

 

3 継続的に預金の引き出しを希望される場合は成年後見制度の利用を!

以上のように,家族による引き出しができるようになりましたが,あくまでこれは入院費用などに限定されていて,一時的な手段にすぎません。

継続的に預金の引き出しを希望される場合は,成年後見制度のご利用をご検討ください。成年後見制度については,以下のページで詳しく解説していますのでご参照ください。

成年後見制度