遺産分割の途中で遺言書がでてきた場合はどうするか
遺産分割の話し合いを行っている途中で、相続人の一人が被相続人の遺言書があったと突然持ち出してくる場合があります。
その遺言書を確認したところ、疑問点があり、遺言が無効かもしれないと思われる場合は、どのように対処すれば良いのでしょうか。

遺産分割の「前提問題」
遺言が有効であるかについては、遺産分割調停・審判における「前提問題」に該当します。
「前提問題」とは、遺産分割の手続きを進めるにあたって、具体的な分割方法を定める前に解決しておかなければならない問題のことです。
この前提問題を解決しなければ、具体的に遺産分割の話し合いを進めることは難しくなります。
というのも、遺言が有効か無効か、その遺言をどう解釈するかによって「誰がどの財産を受け取る権利を持つか」「そもそも遺産分割協議を行う必要がある財産か」といった根本的な部分が大きく変わってしまいます。
例えば、遺言が有効であれば遺産分割協議を行う必要はなく、遺言書どおりに遺産を分ければ良いということになるからです。
このため、遺産分割を行う前提として、まずは遺言の有効性の問題について解決をしておく必要があります。
遺産分割協議中の場合
まずは相続人間で、その遺言の有効性について合意をしておく必要があります。
遺言について無効なものとして扱い、相続人全員で遺産分割協議を進めるという合意をしても問題はありません。
遺言の有効性について、相続人間で争いがある場合は、遺言無効確認訴訟などをまず行い、遺言の効力について確定しておく必要があります。
遺産分割調停中の場合
すでに遺産分割調停を行っている途中で、相続人の一人が被相続人の遺言書があったといって持ち出してきた場合はどうすれば良いのでしょうか。
もし相続人間で遺言の有効性について合意ができない場合は、前提問題が解決していないということになり、具体的な遺産の分け方を定めることはできません。
このため、家庭裁判所によって以下のいずれかの対応が取られる可能性があります。
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①取下げ勧告
裁判所から、調停の申立てをいったん取り下げるように勧められます。 -
②「なさず」(調停をしない措置)
これ以上調停による話し合いを進めるのは不適当であるとして、裁判所の判断で調停手続き自体を終了させる措置がとられます。
このように、調停では前提問題が解決できないと調停の手続きがいったん終了する可能性があります。
このため、別途、民事訴訟(遺言無効確認訴訟など)を起こして前提問題そのものに法的な決着をつけ、その後、再度遺産分割調停を申し立てるなどの対応を行います。
審判中の場合
では、「審判」になった段階で被相続人の遺言書の存在が明らかになり、その遺言書の有効性について相続人間で合意ができない場合はどうなるのでしょうか。
この場合、原則としては、調停と同様に取下げ勧告などの措置がとられることになります。
ただし、遺言の効力についての判断が比較的容易であり、仮に訴訟を起こされても同じ結論になる可能性が高い事案であれば、家庭裁判所が前提事項について審理判断したうえで、そのまま遺産分割の審判を行うことも認められています。
ただし、最終的に民事訴訟で異なる判決が出た場合は、その判決の内容が優先されることになります。
訴訟により解決する
遺産分割の話し合いの途中で遺言書の有効性について争いになった場合は、最終的には訴訟によって法的解決を図ることになります。
訴訟になった場合は、解決まで1年以上かかるケースもあり、その間、遺産分割ができなくなることもあります。
遺産分割の途中で遺言書の有効性について争いになった場合は、どのような対応を取るのが最も良いかについて専門家である弁護士に個別にご相談されることをお勧めいたします。










