神戸・姫路の弁護士による相続相談弁護士法人法律事務所瀬合パートナーズ(兵庫県弁護士会所属)神戸駅1分/姫路駅1分

相続人の配偶者とのトラブル

1 相続人の配偶者の介入によるトラブル

相続人間で遺産分割協議を進めようとした際に、相続人の配偶者が口出ししてトラブルとなることがしばしばあります。
今回は、このような相続人の配偶者の立ち位置や、相続人の配偶者が原因で生じるトラブルへの対応等について解説します。

2 相続人の配偶者の立ち位置

相続が発生したとき、法定相続人となりうる者は、被相続人の配偶者、①子、②親、③兄弟姉妹(ただし、①~③は上位の順位の者が存在しない場合に下位の者が相続人となる)です。
相続人の配偶者自身は、如何なる場合であっても、法定相続人ではありません。
そのため、本来であれば、相続人の配偶者は、相続人らによる遺産分割協議に口出しして介入することはできません。
しかし、実際には、相続人の配偶者が遺産分割協議に口出しして、遺産分割協議に影響を与え、遺産分割協議がまとまらなくなることも多くあります。そこで、以下のような対応策が考えられます。

3 相続人の配偶者とのトラブル予防、対応策

(1)遺言書の作成

まず、相続人の配偶者とのトラブルを未然に防ぐための手段のひとつとして、被相続人が予め遺言書を作成しておくことが考えられます。
遺言書により、被相続人は、予め、どの相続人にどの遺産を相続させるかを決めておくことができます。
遺言書がある場合には、相続人は、基本的には、遺言書どおりに遺産分割を進めることになるので、遺産分割協議をする必要もなく、相続人の配偶者が遺産分割の内容に影響を与えるおそれもなくなるのです。

(2)遺産分割調停の申立て

相続人が遺言書を作成せずに亡くなり、相続人らにて遺産分割協議をしていたところ、相続人の配偶者が口出ししてトラブルになってしまった際の対応としては、家庭裁判所に対して遺産分割調停を申し立てることが考えられます。
遺産分割協議は相続人全員で行う必要があるところ、上述のとおり、相続人の配偶者は相続人ではありません。そのため、遺産分割調停においても、相続人全員が出席する必要がありますが、相続人ではない相続人の配偶者は、調停に出席することも許されていません。
相続人の配偶者が遺産分割協議に口出ししてトラブルになってしまった場合には、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることで、相続人の配偶者が介入しない形で、遺産分割協議を進めることができるのです。

 

4 相続人の配偶者が寄与分を主張した場合

上述のとおり、相続人の配偶者は、相続人にはなり得ませんが、遺産に対して何らの請求権を持たないわけではないことには注意が必要です。
令和元年7月の民法改正により、相続人の配偶者には、特別寄与料を受け取ることができる場合があることになりました。
特別寄与料とは、①相続人ではない被相続人の親族であり、②被相続人に対して無償で療養看護その他の労務を提供し、③被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をした者が、相続人に対して請求することができる寄与分のことをいいます。
そのため、相続人の配偶者は、上記の要件を充足する場合には、自らの権利として、相続人らに対し、特別寄与料を請求する場合があります。

5 まとめ

このように、相続人の配偶者の介入により遺産分割協議がまとまらない場合や、相続人の配偶者が特別寄与料を請求する場合等、相続人の配偶者による相続トラブルが生じた、又は生じる可能性がある場合には、早期に相続に詳しい弁護士に相談されることをお勧めします。
弁護士法人法律事務所瀬合パートナーズでは、相続に詳しい弁護士が、相続に関するあらゆるご相談に対応しています。まずはお気軽にご相談ください。