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生前贈与とは

1 生前贈与とは

 「生前贈与」とは,文字通り,生きている間に行う贈与のことをいいます。一般的には,通常の贈与と区別して,相続税対策として行う贈与のことを「生前贈与」と呼ぶことが多いようです。

 

2 相続と生前贈与の違い

 1つ目の違いは,財産を渡すタイミングです。相続の場合は,財産が移転するのは亡くなった後ですが,生前贈与の場合は,生きている間に財産を渡すことができます

 2つ目の違いは,税率です。相続税の方が,贈与税よりも税率が低いです。それなら生前贈与するよりも相続を待った方が良いのではないかと思われるかもしれませんが,後述するように生前贈与をうまく使えば,節税になります

 

3 生前贈与のメリット:節税になる

(1)贈与税の課税方式

 生前贈与をうまく利用すると,節税になります。

 生前贈与をした場合,贈与税が課せられます。贈与税の課税方式には,「暦年課税方式」と「相続時精算課税方式」の2種類があり,どちらかを選択することができます。

 「暦年課税方式」とは,1年ごとの贈与に対して贈与税を課す方式です。一方,「相続時精算課税方式」とは,一定の条件下の贈与について,本来発生するべき贈与税を,相続時に相続税で精算することを前提に課すものです。

以下では,簡単な「暦年課税方式」を用いた節税について説明します。

 

(2)「暦年課税方式」を用いた節税の方法

 「暦年課税方式」を選択すれば,毎年110万円までの贈与については贈与税が発生しません。つまり,生前贈与を毎年110万円ずつ10年間行えば,相続財産が10年間で1100万円減ることになり,その分相続税が安くなるうえ,贈与税もかからないということです。

 

(3)「暦年課税方式」を用いる場合の注意点

 生前贈与も,死亡前の3年以内に行ったものは相続扱いになり,相続税の課税対象になります。

 また,親が管理している子ども名義の口座に110万円ずつ振り込んでいた場合などは,子ども名義の口座も親の財産であると判断され,生前贈与と認められない可能性があります。生前贈与をする場合は,親(被相続人)が管理していない口座に振り込むようにし,念のため贈与契約書も作成しておいた方がよいでしょう。