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遺留分請求の期限と時効について

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第1 遺留分に関する期限の種類

 遺留分とは、亡くなられた方(被相続人)の法定相続人のうち、一定の範囲の相続人について、最低限保障される相続財産の取り分を指します。遺留分権利者が他の相続人に遺留分を侵害されている場合には、当該相続人に対して遺留分侵害額請求を行うことができます。ただし、遺留分侵害額請求には期限が定められています。遺留分侵害額請求権の期限には、以下の3つがあります。

1 短期消滅時効

 遺留分権利者が、相続が開始したこと及び遺留分を侵害する贈与や遺贈があったことを知った日から1年以内に遺留分侵害額請求権を行使しなければ、遺留分侵害額請求権は短期消滅時効により消滅します。

 ただし、遺留分権利者がこれらの事実を知ったときはいつなのかという点を巡って争いになる場合があります。このため、できる限り、被相続人が亡くなった日から1年以内に遺留分侵害額請求権を行使するのが望ましいでしょう。

2 消滅時効

 相続法改正により、遺留分侵害額請求権は、遺産を取り戻す権利ではなく、金銭を請求する権利であるとされました。

 このため、遺留分侵害額請求権は、他の金銭債権と同様に権利を行使することができることを知った時から5年、すなわち、他の相続人に対して遺留分侵害額請求権を行使したときから5年で、時効により消滅することになります

3 除斥期間

 遺留分権利者は、相続開始の時、すなわち、被相続人が亡くなった日から10年以内に遺留分侵害額を請求しなければ、遺留分侵害額請求権は除斥期間により消滅します

 除籍期間は、遺留分権利者の事情如何に関わらず、相続開始の時から進行する期限です。

 民法において、短期消滅時効だけでなく除斥期間が定められている理由は、短期消滅時効(1年)の定めのみでは、遺留分権利者がその事実を知らないまま長い期間が経過し、後になって遺留分侵害額請求権が行使されるおそれがあるため、相続人が長い期間経済的に不安定な状態に置かれることとなり、望ましくないと考えられたためです。

第2 遺留分侵害額請求の期限を過ぎるとどうなるか

 消滅時効期間又は除籍期間が経過した場合、遺留分侵害額請求権は消滅します。したがって、それ以降、遺留分権利者が他の相続人に対して遺留分侵害額請求権を行使することはできなくなります。

第3 遺留分侵害額請求の時効・期限を延ばす方法

 上述のとおり、消滅時効期間が経過して時効が完成してしまうと、遺留分権利者は他の相続人に対して遺留分侵害額請求権を行使することができなくなってしまいます。このため、遺留分権利者は、時効の完成前に、時効期間を延ばし、消滅時効が完成することを防がなければなりません。

 では、具体的にどのようにすればよいのでしょうか。

 まずは、短期消滅時効期間である1年以内に、遺留分を侵害している相手方対し、内容証明郵便で遺留分侵害額請求権を行使する旨通知します。これにより、時効の完成を延ばすことができます。

 また、相手方が遺留分権利者に対して遺留分侵害額の存在を認めて支払いをする意思表示を行った場合は、これによっても、時効が中断します。
 しかし、これらによって時効が中断したあとも、また新たに時効が進行しますので、そこから5年が経過すると消滅時効が完成してしまうことになります。このため、遺留分権利者は、遺留分侵害額請求の調停申立てや訴訟提起によって、時効の進行を停止させることが必要となります。

第4 遺留分侵害額請求を行う際の注意点

 遺留分侵害額請求権は、消滅時効期間が非常に短いため、消滅時効が完成することのないよう注意する必要があります

 遺留分権利者が他の相続人との間で、遺留分侵害額に関する交渉や調停等を具体的に進めるためには、まずは、遺留分侵害額を算出する必要があります。
そして、遺留分侵害額を算出するためには、被相続人の遺言書、被相続人名義の不動産の登記簿、金融機関口座の取引履歴等、被相続人の遺産に関する証拠資料を確保する必要があります

第5 弁護士に相談すべきか

 遺留分侵害額請求権の行使には、①短期消滅時効、②通常の債権としての消滅時効、③除籍期間という、異なる3種類の期限があり、それぞれの期限について、注意すべき点は異なります。また、消滅時効期間が短いため、迅速な対応や準備が必要です。

 遺留分侵害額請求について弁護士に相談することで、とるべき手続や証拠収集の方法について専門的な助言を受けることができることはもちろん、有利な交渉の進め方等についても効果的な助言を受けることができます。

 また、遺留分侵害額請求について弁護士に依頼すれば、弁護士が遺留分権利者に代わって、相手方との交渉や裁判を行うため、感情的な対立を避け、解決へ向けて適切に対応することができます。

 遺留分侵害でお悩みの方は、是非一度、法律事務所瀬合パートナーズにご相談ください。

 

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