親が亡くなった場合の相続手続きの流れ

1 はじめに

相続は人の死亡によって開始されますので、親が亡くなった場合、あわただしく各相続手続きをとる必要性が生じてきます。もっとも、「相続手続き」と一口にいっても、具体的に何を行えばよいのか分からないというお悩みは多いと思われます。以下では、遺言書がある場合とない場合で分けて、どのような手続きをたどるべきか示していますので、あてはまる状況にあわせてお読み下さい。

2 遺言書がある場合

1 遺言書の検認

もしも亡くなった親が遺言書を残していた場合には、遅滞なくこの遺言書について家庭裁判所へ「検認」の申立てをする必要がありますなお、ここでいう遺言書は自筆証書遺言(親が全文、日付及び氏名を自筆して印を押したもの)のことを指し、公証役場で作成した公正証書遺言については検認の手続きは不要です。
検認の手続きを怠って、先んじて遺言書の内容どおりに手続きを進めてしまったり、家庭裁判所外で遺言書を開封してしまうと5万円以下の過料に処される可能性がありますので注意が必要です。

2 遺言書の執行

検認が終われば、次に遺言書記載の内容どおりに相続財産を分配する必要が生じます。この際に、遺言書で「遺言執行者」と呼ばれる遺言の執行に必要な一切の行為をできる人物が指定されていた場合には、その遺言執行者が遺言書の内容の実現に向けて行動を始めることになります。遺言執行者には、相続財産の目録を作成し、相続人に対して交付する義務があります。遺言執行者は煩雑な手続きを行う義務が課されていることから、弁護士などの法律の専門家が指定されるケースが多く見受けられます

3 遺言書がない場合

1 相続人の確定

法律上、相続人の地位を有する人は決められています(法定相続人と呼ばれます)。亡くなった親の配偶者は常に相続人になりますし、亡くなった親の子も相続人となります。他にも直系尊属や兄弟姉妹が相続人となる場合もありますので、誰が法定相続人であるのか確定するために役所から戸籍謄本等を取り寄せて調査する必要があります

2 相続財産の確定

相続人は、相続の開始の時から、被相続人である親に属していた一切の権利義務を承継することになります。そのため、親の預貯金や不動産、有価証券等すべての財産について調査をして、遺産分割の対象となる相続財産の範囲を確定しなければなりません。
ここで注意しなければならないのは、相続にあたっては預貯金等のプラスの財産だけではなく、借入金等のマイナスの財産についても相続人へ当然に承継されるという点です。生前に親が借金をしていたことを把握しており、親の財産についても特に心当たりがないような場合には、相続放棄について検討する必要があるといえます。相続放棄は、相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立ててしなければなりません。なお、マイナスの財産だけ相続放棄をしてプラスの財産だけ手元に残すことはできませんし、一度相続放棄をすればその後撤回することもできません

3 遺産分割協議

相続人と相続財産が確定し、誰が何を相続するのかが明らかになれば、後は具体的に相続財産をどのように分けるのかを決めていきます。法律上、相続人が得られる相続分は決められています(法定相続分と呼びます)が、話し合いをして各自の相続分を増減させることは可能です。遺産分割協議を終える際には、後に話が蒸し返されて紛争化することを防ぐために、合意内容を記載した遺産分割協議書を作成することを強く推奨しています
なお、遺言等により不公平な相続分が定められていた場合には、「遺留分」と呼ばれる相続を受けることのできる最低限の割合を主張することができますが、遺産分割協議後には遺留分を主張できませんので合意の際には注意が必要です。

4 その他の手続き

1 相続税の申告

相続税の申告をする必要がある場合には、相続開始のあったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に、被相続人である親の住所地を所轄する税務署に申告をして行う必要があります
相続税の申告をする必要がある場合とは、基礎控除額(3000万円+(600万円×法定相続人の数))を超える金額を相続する場合です。なお、ここでいう「法定相続人の数」には、相続放棄をした人の数も含みます。

2 準確定申告

所得税は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得に対する税額を算出して、翌年の2月16日から3月15日までの間に申告・納税する決まりになっています。しかし、被相続人である親が年の途中で亡くなり、かつその親に所得があった場合、もはや被相続人は確定申告できませんので、代わりに相続人が1月1日から死亡した日までの所得金額及び税額を計算して、相続のあったことを知った日の翌日から4か月以内に所得税の申告・納税をしなければならないとされています。この手続きを「準確定申告」と呼んでいます。

3 年金の受給停止手続き

年金を受けていた人が亡くなった場合、年金を受け取る資格がなくなるため、亡くなってから10日(国民年金は14日)以内に「受給権者死亡届」を年金事務所等に提出しなければなりません。なお、日本年金機構に対してマイナンバーを届け出ている人は原則としてこの届出を省略可能です。
年金の受給停止手続きをしない限り、親の死亡後も指定の口座に年金が振り込まれ続けることになります。年金を受給する権利がなくなっているにもかかわらず手続きを怠って年金を受給し続けると、後に不正受給として追及されかねませんので、忘れずに早期に手続きを行う必要があります。

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弁護士法人法律事務所瀬合パートナーズ

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