遠隔地の相続

1 はじめに

 被相続人が遠隔地に居住していた場合や,相続人が遠隔地に散らばっている場合,遺産分割をどのように行えばよいでしょうか。

 

2 遺産分割協議について

 大前提として,遺産分割協議は,相続人全員が一堂に会して行う必要はありません。相続人全員の間で,どのように遺産を分割するかについて話がまとまればよいので,電話や書面で連絡を取り合って話がまとまれば,遺産分割協議は成立します。

 もっとも,後々の紛争を予防するため,また銀行や登記など相続後の手続を迅速に進めるためには,遺産分割協議書を作成しておくべきです。この遺産分割協議書の作成も,相続人全員が集まって署名押印する必要はなく,郵送で行うことができます。

 

具体的には,2つの方法が考えられます。

1つは,持ちまわし方式です。遺産分割協議書を1通作成し,相続人Aが署名押印し,その後B→C→Dと全員の署名押印が終わるまで順に郵送していく方法です。

もう1つは,遺産分割協議証明書方式です。「遺産分割協議証明書」という書面を相続人の人数分作成し,相続人それぞれに郵送して署名押印をしてもらって返送してもらいます。相続人全員分の遺産分割協議証明書がそろえば,遺産分割協議書と同等の効力を有することになります。

 相続人の人数が少ない場合は,前者の方法で十分だと思います。しかし,相続人の人数が増えると,持ちまわしに時間がかかりますし,誰かが紛失するリスクも高まります。そのような場合には,後者の方法が有効といえます。

 

3 遺産分割調停について

 相続人同士で遺産分割の方法がまとまらない場合,家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てることになります。では,相続人が遠隔地に散らばっている場合,どこの家庭裁判所に申し立てればよいのでしょうか。

 

 遺産分割調停の管轄は,「相手方の住所地を管轄する家庭裁判所」又は「当事者が合意で定める家庭裁判所」です。前者について,相手方(相続人)が複数いて住所地が異なる場合は,そのいずれかの住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てることができます。

 したがって,もしご自身だけが遠隔地に居住している場合は,遺産分割調停の行われる家庭裁判所が遠方になる場合があります。ご自身が直接出頭することが難しい場合は,弁護士に依頼して代わりに出頭してもらうことが考えられます。また,電話会議システム等もありますので,最寄りの家庭裁判所に出頭し,そこから電話会議等で出席するという方法もあります。

 

 

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