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相続人が多数いる場合の相続について

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第1 相続人が多数いる場合の相続について

 実家の不動産の名義を調べたところ、祖父名義のままになっていたなど、相続手続を放置していた場合、相続人が10名以上など多数に及ぶ場合があります。このような相続人が多数いる場合、どのように相続手続きを進めたら良いでしょうか。

第2 具体的な進め方

1 相続人調査

 まずは、相続人を調査する必要があります。例えば、祖父名義の不動産の名義を変更するには、まず祖父の相続時の法定相続人が誰であるかを調べます。祖父の相続人が現在ではすでに亡くなっている場合、さらにその相続人を調べる必要があります。
 相続人調査は戸籍を調べて行います。被相続人が出生したときから亡くなるまでの全ての戸籍謄本を取り寄せます。本籍地が移転している場合は、移転前の戸籍もたどらなければなりません。祖父の相続人に当たる人が亡くなっている場合は、その相続人の戸籍も同じように調べます。
 昔の戸籍は手書きである上、今とは戸籍のルールが違うためとても読みづらいですが、細かく戸籍謄本を見ていく必要があります。
 相続人を調べ終えたら、相続関係図(家系図のようなもの)を作成して、誰と誰がどのような親族関係にあるかすぐに分かるようにするのが望ましいです。また、法定相続情報証明制度を利用することを検討しても良いでしょう。

 法定相続情報証明制度の具体的な手続について:法務局 (moj.go.jp)

2 相続人への連絡

 こうして相続人が判明したら、次に相続人へ連絡を取ります。連絡先がわからない相続人がいる場合は、相続人の戸籍の附票を取り寄せて相続人の住所を調べます。住所がわかれば、その相続人宛てにまずは手紙を送って連絡を取ります。
 相続人の中には、すでに親族関係として疎遠になっていて相続紛争に関わりたくないと考えているや、相続分が細分化されたことにより微々たる相続分しかない人もいます。このため、手紙を送る際に、相続登記ができていない不動産(その他の財産)があること、不動産の価値はあまりないこと(建物が古く解体費用に多額の費用がかかる等)、固定資産税などの管理費用もかかっていること、あなたの相続分は〇分の〇で評価としては些少であること等の事情を説明します。そうすると、相続分を譲渡する、相続分を放棄するなどの手続きに協力してくれる相続人も少なくありません。

 不動産以外にも遺産がある場合は、遺産の一覧表を作成して相続人に開示するのが良いでしょう。可能であれば、遺産の金額がわかる資料(預金残高証明書など)を添付するのが望ましいです。
 疎遠となっている相続人の中には、全く遺産はいらないという人もいますが、お金で貰えるなら欲しいという人がいます。このため、遺産の一覧表を相続人に開示し、遺産をすべて換価(現金化)して、現金を法定相続分の割合に従って配分しますという提案をすると、スムーズに応じてくれる場合が多いかもしれません。

 先々代の相続などになると、親戚とはいえ、会ったこともない人が相続人になっていることも珍しくありません。相続人の人数が10名を超えることも頻繁にあります。いくら法定相続人同士とはいえ、初対面の人も含めた10名以上で話をするというのはそれ自体が大変ですし、ましてや話をまとめるのはより一層大変です。このため、まずは相続分の譲渡を受けたり、相続分を放棄してもらうなどして、相続人の人数を減らす方向で進めることを検討するのが良いでしょう。

 また、ほとんど他人のような関係の相続人に、いきなり相続の話やお金の話をするのは抵抗があるという方も多いかと思います。その場合は、弁護士に依頼して、自分に代わって弁護士に連絡してもらうのが良いでしょう。

3 遺産分割協議書の作成

 相続人に連絡を取ることができ、相続の話がまとまれば遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書は、1通に全ての相続人が署名押印しなくても、全員に同じ内容の書類を送ってそれぞれから署名押印したものを返送してもらう方法でも作成することが可能です。このとき印鑑証明書も添付してもらいます。
 遺産分割協議書の作成ができたら、それに基づき不動産の相続登記や、預貯金の解約手続きなどを進めていきます。

4 話し合いができない場合は、遺産分割調停を申し立てる

 相続人が多く、相続人の一部が遺産分割に応じないような場合は、家庭裁判所に対して遺産分割調停を申し立てて解決するしかありません。相続人の一部が遺産分割調停に出席しない場合でも、最終的に家庭裁判所が遺産分割の審判を出してくれるため、この審判をもって相続手続を行うことが可能です。

第3 早めの対応を

 「そんなに面倒くさいなら、名義変更せずにこのまま住み続けよう」とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、不動産については、令和6年4月1日から相続登記の義務化が始まっており、原則として不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に相続登記をしなければなりません。正当な理由なく相続登記をしない場合は、過料が科せられることになる場合もありますので、早めの対応が望ましいです。

 相続人が多数存在する場合の相続についてお悩みの方は、是非一度法律事務所瀬合パートナーズにご相談ください。

 

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