相続債務の取扱い
質問
債務者が亡くなったのですが,遺言書があったという話も聞きます。誰にいくら請求することができますか?
回答
遺言で相続分の指定がされた場合でも,相続債権者は,各共同相続人に対して,法定相続分に応じた請求をすることができます。
債務者が死亡した場合,その債務は相続人に承継されます。遺言書で相続分が指定されていた場合,債務もその指定相続分に応じて承継されます。しかし,遺言の内容を知らない相続債権者にとっては,遺言の内容次第で請求できる相手が変わってしまい,不測の不利益を被る可能性があります。そこで, 平成30年相続法改正により,遺言で相続分の指定がされた場合でも,相続債権者は,各共同相続人に対して,法定相続分に応じてその権利を行使することができると定められました(民法909条の2)。
相続債権者は,法定相続分に応じて請求するか,指定相続分に応じて請求するか選ぶことができます。いったん法定相続分に応じて請求し,その後指定相続分に応じた債務の承継を承認して指定相続分に応じた請求をすることもできます。ただし,指定相続分に応じた債務の承継を承認した後に,法定相続分に応じて請求することはできません。また,相続人の1人に対して指定相続分に応じた債務の承継を承認すると,他の相続人との関係でもその承認の効力が及びます。
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