Q.最近、長年連れ添った妻と離婚をしました。そこで、相続人候補者が変わりましたので、かつて作成した公正証書遺言を一度撤回したいのですが、どのような手続きをとればよいのでしょうか?
遺言の全部または一部を撤回したい場合、遺言作成者は新たに遺言を作成し、その遺言で前に作成した遺言の全部または一部を撤回する旨を内容にすれば、前の遺言は撤回したものとみなされます(民法1022条)。
自筆証書遺言の場合であれば、遺言書を破棄してしまえば、撤回したものと同じ効果が生じますので、自ら破棄されるとよいでしょう。
問題は公正証書遺言の場合です。公正証書遺言の場合、原本は公証役場に保管されており、お手元にあるものは正本又は謄本です。
従いまして、お手元にある公正証書遺言の正本又は謄本を破棄しても、法的には意味がありません。また、公証役場にお願いしても、破棄してもらうことはできません。
そこで、公正証書遺言を撤回する場合は、新たに遺言書を作成し、そのなかで撤回する必要があります。なお、公正証書遺言を撤回する場合、あらたに公正証書遺言を作成すると費用がかかりますので、自筆証書遺言を作成し撤回することで対応してもよいでしょう。
ただし、自筆証書遺言の作成上の不備が理由で撤回が無効となったり、撤回した自筆証書遺言が紛失したりするおそれがありますので、作成後、専門家にチェックしてもらい、大切に保管するようにしましょう。
また、撤回後は、遺言が作成されていない状態になっていますので、争族対策や相続税対策をする意味でも、なるべく早期に相続プランを再度立案し、公正証書遺言を作成することをお薦めします。
遺言書の作成でお悩みの方は、この分野に詳しい弁護士にご相談ください。
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