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遺留分の計算は具体的にどのようにすればよいのでしょうか

質問

 父が亡くなりました。相続人は、私と弟、妹の3名です。父の遺産としては、自宅(3000万円)、預金(2400万円)、債務(1800万円)が遺されています。父は、自宅を弟に相続させる旨の公正証書遺言を作成していました。また、父は亡くなる半年前に妹に自宅購入資金として600万円を贈与していることがわかりました。遺留分減殺請求をしたいと考えていますが、この場合、どれくらいの遺留分が認められますか?

回答

 遺留分の計算方法については、手順があります。具体的には、(1)遺留分減殺の算定の基礎となる財産、(2)個別的遺留分額、(3)遺留分権利者が相続によって得た財産額、(4)相続債務負担額をそれぞれ算出し、(5)一定の計算式をもって遺留分侵害額を計算します。

 実際に本件を例に算出してみましょう。

(1)遺留分減殺の算定の基礎となる財産

 まずは、遺留分減殺の算定の基礎となる財産を算出します。
 具体的には、まず①~⑤の合計額を算定します。
 
 ①被相続人が死亡時において有していたプラスの財産の価格

 ②被相続人が相続開始前の1年間に贈与した財産の価格

 ③②以外で、贈与者受贈者双方が遺留分権利者の遺留分を侵害することを知ってなされた贈与

 ④相続人が受けた特別受益

 ⑤当事者双方が遺留分を害することを知ってなされた不相当な対価による売買等の有償行為
 
 次に、①~⑤の全財産額から被相続人が負っていた債務を控除します。
  
 本件では、①相続開始時において有していた自宅(3000万円)+預金(2400万円)に、②父が亡くなる半年前に妹に贈与した(600万円)を加え、債務(1800万円)を控除した4200万円が遺留分の基礎となる財産額となります。

(2)個別的遺留分額

 計算式は、(遺留分減殺の算定の基礎となる財産)×(法定相続分)×(遺留分率)となります。
 
 本件におけるご相談者様にあてはめますと、4200万円(算定の基礎となる財産)×1/3(法定相続分)×1/2(遺留分率)=700万円となります。 

(3)遺留分権利者が相続によって得た財産額

 本件において、ご相談者様が遺留分減殺前から相続において得られる財産額は、預金のみですので、2400万円×1/3=800万円となります。  

(4)相続債務負担額

 債務も法定相続分に応じて分担することになりますので、1800万円×1/3=600万円となります。

(5)遺留分侵害額 

 遺留分侵害額の計算式は、(2)個別的遺留分額-((3)遺留分権利者が相続によって得た財産額-(4)相続債務負担額)となります。
 
 本件でこの計算式にあてはめますと、700万円-(800万円-600万円)=500万円であり、その限りで減殺請求を行うことができます。  

 遺言・遺産分割・遺留分の問題に関してお悩みの方は、この問題に詳しい弁護士にご相談ください。

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